1000年以上も変わらぬ奇跡/百人一首7「三笠の山に…」

百人一首の暗記に挑戦したのは小学生の時。
恋はまだ分からない。日本語もあまり得意ではない。
そんな時期の私が一番最初に覚えたのが、

天の原 ふりさけみれば 春日なる
三笠の山に いでし月かも

作者の阿倍仲麻呂は16歳の時に遣唐使として出国(717)。
中国で科挙に合格、玄宗皇帝にも認められ、大出世する。
李白や王維とも親交があった古代屈指の国際人の1人だ。
晩年になり帰国を試みるが(753)、船が難破してしまう。
そして故郷の地を踏むことなく中国で亡くなった(770)。

この歌が詠まれた場面にはいろいろと説があるそうで、
だいたい3通り考えられているのだとか。

  • 帰国が決まり、唐での送別会で(古今集・詞書)
  • 帰国の途中の海上で
  • 船が難破し、漂着した安南(ベトナム)で

年齢的なことを考えると、
帰国をあきらめ、空を仰いだ時に目に映った月かな。

ちなみに三笠山はどら焼きではない。
奈良、三笠山のふもとの春日神社で航海の無事を祈る、
というのが遣唐使のならわしだったらしい。

最近になって気がついたけど、日本語って不思議。
子供の頃から、かるた取りや坊主めくりなどで、
1000年以上も昔の言葉をなんとなく理解してしまう。
こんなにさかのぼって意味が取れる言語は他にはない。
これって奇跡みたいに凄いこと。

だから「公用語を英語に!」なんて発言は無知の極み。
中国で活躍し、和歌も残した阿倍仲麻呂のように、
日本も海外も理解してはじめて真の国際人なんだよ。