日本について話す機会があるとき、必ず使うものがある。
原研哉「デザインのデザイン」で出会った90度回転させた世界地図。
日本のおもしろさや奥深さが、たった1枚の地図でいろいろ語れる!
ペリー来航までの日本は、世界の文化の受け皿の立ち位置。
あらゆるものを受け止めて、日本独自の編集を加え続けてきた。
漢字からひらがなを生み出した日本語の成り立ちにはじまり、
和魂漢才、和魂洋才をくり返すことで、新しい文化を生み出した。
たとえば「食」から考えると日本文化の豊かさが分かりやすい。
なぜミシュランガイドの高評価を得られるのかと言えば、
その理由のひとつとして料理に使う食材の豊かさがあり、
古くは中国の煮こごり「羊かん」の変身から、
本場とは別物にアレンジされた洋食や中華料理、
そして近年では「箸」で食べる「たらこスパゲッティ」まで。
日本の食文化の豊かさはすさまじいものがある。
こんな話をしていたら、だからこそ奈良・正倉院の宝物が、
中国・インド・中央アジアの歴史を紐解くために貴重な史料。
なんてことを教えてもらった。
他国では地域を支配する民族がコロコロと変わり、
入れ替わるたびに前の文化は破壊のかぎりを尽くされる。
だから日本に遺されたものから巻き戻して推測するんだとか。
こうして年表を眺めてみると(吉川弘文館「世界史年表・地図」より)、
他の超越性をもった文明に滅ぼされたり、吸収されたりせず、
日本がずっ~と日本のままでいられたのは奇跡と言えるかも。
たしかに日本が経済で誇れる時代は過ぎ去った。
だからといって新たな自信を「外」に求めるのではなく、
すでに「内」にあるものを見直すことが、今の日本に必要なのでは?
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