幼な子、人形の道具箱、蓮の小さな浮葉、ひよこ、瑠璃の壺など、
身の回りの小さなものに「いとうつくし」と喜びを見いだす。
「ちひさきものはみなうつくし」(枕草子151段)
清少納言の想いは別のところにあったかもしれないが、
日本は古来より「小ささ」に「美」を見出してきた。
- 7世紀に中国から来た「うちわ」を「扇子」に進化
- わずかな文字数に世界観を凝縮した「和歌」や「俳句」
- 一品一品に物語が込められた「おせち料理」
- 自然を手のひらサイズにした「箱庭」や「盆栽」
世界をコンパクトに収める「ちひさきもの」への愛。
小さく「詰められない」ものは、日本人にとっては「つまらない」のだ。
そして「小ささ」を追求し、余分なものを削ぎ落とす過程で生まれた、
心の中で美を完成させる「引き算の美学」とも言うべき方法。
「不足によってこそ、完全や満足という物ではあらわせないことが出現するとみなす。不足をいかに美しくするかということによって、人々の中に満足の美というものを感じさせるのです。「枕草子」はそれを「小さきもの」と言いました。イサムノグチは「不完全こそが美だ」と言いました。」 松岡正剛「神仏たちの秘密―日本の面影の源流を解く」P85
こうした文化的な背景あったからこそ、
日本は「小型化」ってニーズに寄り添う技術革新には強い。
だから20世紀の技術小型化の波に乗れたんじゃないかな。
もちろんその代表例はソニーのウォークマンだよね。
※「SONY」は「sonny」って単語に由来し「小さい」って意味
日本が次に目指すべき「ちひさきもの」はなんだろう?
人口減少やエネルギー関連から出てくるのだろうか…
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