人口動態のトリレンマ

この記事は約2分で読めます。

トリレンマ。
3つの選択肢のうち2つを選び、残り1つを捨てること。

トリレンマで世界を読み解くと意外とわかりやすいことが多く、
これまで金融政策など、いろいろな書物で出会ってきた。

今回はポール・モーランド「人口は未来を語る」に示された、
先進国における人口動態のトリレンマについて。
3つの選択肢は、

  • 経済力…好調な経済成長
  • 民族性…ある特定の民族集団が、祖国で優位を保つこと
  • エゴイズム…家族の形成より個人的計画を優先すること(人々に子供を持たないという選択をさせる、様々なプレッシャーと社会的選好を含む)

このトリレンマを説明するための最適な国として、
著者があげたのが、日本、イギリス、イスラエル。

  • 日本…民族性とエゴイズムを選び、経済力を捨てた
  • イギリス…経済力とエゴイズムを選び、民族性を捨てた
  • イスラエル…経済力と民族性を選び、エゴイズムを捨てた

日本は移民を受け入れる気がない(民族性)。
また家事を女性に押し付ける文化により、
女性が結婚や子育てより自立を優先するのは当然(エゴイズム)。
この選択により、生産年齢人口および総人口が減少が止まらず、
かつてのような経済大国に戻る見込みはない。

イギリスは日本と同様に50年以上前から、出生率が人口置換水準を下回る。
しかし労働力の不足分を補うために大量の移民を受け入れることで、
経済の活力は維持できており、日本のように人手不足は起きていない。

イスラエルは1人の女性が平均3人の子供を生むことで、
経済力と民族の連続性を保つことができている。

日本に関する指摘はまさに図星。
長い目で見た時に、日本企業への投資もどうなのか?ともなるわけで。

経済全体が縮小する中で、株価が上昇する道はひとつの気がしている。
これまでは国内経済の規模がそれなりに大きかったため、
同業に複数の会社が存在し、無駄に競い合っていた面もあると思う。
(それゆえに起きたのが謎に多機能で競い合うガラパゴス化では?)

これからは人手不足に伴い、1つの企業に集約を余儀なくされることで、
1社あたりの研究開発費が大きくなり、強い企業が生まれていくのでは?
同業種間のM&Aがスムーズに進むかどうかが、日本株の未来を決めるかも。

コメント