本が読まれなくなった、と言われるようになって久しい。
でもそれは出版社側が下記のような統計を用いて嘆いているだけだ。
- 日本の出版統計(全国出版協会)
- 出版関連業者の経営実態調査(帝国データバンク)
まぁ自分も読書の習慣ないし、みんなも一緒ならいいか、
と安心してスマホをいじっている人はヤバイ。
日本図書館協会が発表している統計によると、
図書館で本を借りて読む人が爆発的に増えているのだ。
つまり本は売れなくても日本人の読書習慣は失われていない。
だから本を読まなければ周囲に後れをとるぞ、という話も少し違う。
読書を通じて教養を身につける、みたいな面が強調されがちだが、
学ぶことよりもまず第一に、本を開くことは心を開くことと同義なのだと思う。
もちろん人との交際も同じだが、永続的に人生を満たすとは限らない。
恋愛や友愛には劣るものの、読書は他者との巡り逢わせに左右されない。
本を読んで理解する、身につけるといった難しい話は二の次でいい。
自分の目の届くところに本があり、ちょっとした空き時間に開いてみる。
多くの本を開く過程で、小さな幸せを星の数ほど見つけられるはず。
その星々を線でつなぎ、星座を紡ぐことで、心の中に幸せを作っていく。
それが読書の本質的な意義なのだと思う。
最後にアルゼンチンの作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスに、
私たち人類にとって書物の存在の重要性を語ってもらうと、
「人間が創り出したさまざまな道具のなかでも、最も驚異的なのは紛れもなく書物である。それ以外の道具は身体の延長にすぎない。たとえば望遠鏡や顕微鏡は目の延長でしかないし、電話は声の、鋤や剣は腕の延長でしかない。しかしながら書物はそれらとは違う。書物は記憶と想像力の延長なのである。」
今年もたくさん本に触れよう。
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