マックス・デルブリュック「限定的いい加減さの原理」

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神田邦彦「現代文 標準問題精講」を解いていて、
1969年度のノーベル生理学・医学賞受賞者のデルブリュックが、
限定的いい加減さの原理」が発見に必要だと述べたという話が出てきた。

Principle of Limited Sloppiness“についての原文を探したところ、
1978年のインタビュー記事が見つかり、たしかにその記述があった。

If you are too sloppy, then you never get reproducible results, and then you never can draw any conclusions. But if you are just a little sloppy, then when you see something startling, you say, “Oh, my God, what did I do, what did I do different this time?” And if you really accidentally varied only one parameter, you nail it down, and that’s exactly what happened in both of these cases. So I called it the “Principle of Limited Sloppiness”.(Interview with Max Delbruck

偶然の発見に出会うには、適度ないい加減さが必要だよという話だ。

九鬼周造の偶然に関する考察にも少し似ているだろうか。

恋愛を通じて人が世界と交わる時に起きる偶然について探求し、
自分と世の中との関係を固定すれば安心は得られるが、
関係がゆらぐことによる驚きや感動が失われると説いていた。

投資家という生き物は先を読むことに必死になりがちだ。
でもそのために情報に触れすぎると、先入観や思い込みが生じ、
大胆な一手を打てずに、つかみかけた幸運を逃すことも多い。

私にとっては相場を追わず、古典を読んで日本文化と戯れることが、
投資家としての「適度ないい加減さ」なのである。

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