近代と現代を分かつもの/神田邦彦「現代文 標準問題精講」

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「現代」の一つ前の時代を指す「近代」。
しかしその区別はなんとなくモヤっとしている。

これについて論じている大学受験の現代文問題集の学習メモ

「近代」の特徴を表す、三つの「つ」

著者は近代の特徴として、

  • 技術
  • 効率
  • 理屈

の3つをあげ(末尾が「つ」)、
「技術・効率・理屈」優先の近代的な考え方から、
人々が新しい視野に目覚めた時代が「現代」であると説く。

そしてそれぞれのテーマに沿った課題文を提示した上で、

  • 技術…山崎正和「世紀末からの出発」
  • 効率…見田宗介「社会学入門」
  • 理屈…河合隼雄「イメージの心理学」

三つが訴える共通する主張として、

「自分たちの世界とは違う世界について知ることにより、自分たちの世界を外から眺め、客観視する。固定概念に囚われず、自分たちとは違う世界について、簡単に排斥することなく見直す。」

これこそが現代的な考え方なのだと説く。

学生時代の教材は本当に凄いぞ!

技術・効率・理屈の限界を体感した2010年頃

以下は技術・効率・理屈の3つの限界については、
とくにリーマン・ショックと東日本大震災の起きた
2009~2011年に身をもって知ることになったように思う。

それぞれについて、思うままにメモ。

技術の限界

すべての問題を技術的に考え、技術的に解決するのが正しい。
そう突き進んだことで、たしかに科学技術は大きく発展した。
しかし私たち自身が科学技術に対して時代遅れになってしまい、

  • 何がリスクなのか把握することができない
  • リスクの責任の所在が分からない
  • リスクが顕在化したときの補償をしきれない

と振り回されたのがサブプライムローンやフクシマだった。

今話題の人工知能の分野では、技術至上主義ではなく、
多様な議論がなされているようにいるように思えるが果たして…。

効率の限界

「荘子」外篇・天地第十二にこんな一節がある。

「機械有るものは必ず機事あり。機事有るものは必ず機心あり。機心胸中に生ずれば、則ち純白備わらず。純白備わらざれば、則ち神生定まらず。神生定まらざる者は、道の載せざるところなり。」

便利な機械を使って楽をしよう、得をしようという気持ち(機心)によって、
純白の心が失われると、道を踏み外してしまうよ、という意味。

効率を追い求めることは、近代の特徴というよりも、
どうにもならない人の性と言えるかもしれない。

経済重視の世界は、成長を続けなければ衰退するリスクを生み、 
それを避けるために効率性を追求することで、
さらなるリスク(原発・温暖化など)を抱え込むことになってしまった。

理屈の限界

現在・過去・未来のできごとのほとんどは、論理の力で解明できる。
冷戦後の10年間、世界の安定期には、それが正しいように見えた。

アメリカの考えが世界の常識、という幻想の中では、
論理を積み上げさえすれば、未来につながる時代だったのかもしれない。

でも21世紀に入り、IT革命によって世界が目まぐるしく変化した上に、
9.11テロや金融危機、中国の台頭により世界は不安定になってきた。
と同時に論理の積み上げでは過去に対する後付け解釈しかできなくなった。

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