国宝「孔雀明王像」を観る/原三渓の美術 伝説の大コレクション(横浜美術館)

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関東大震災後の復興に尽力した横浜の名士、原三渓(1868~1939)。

その生誕150年、没後80年に合わせて横浜美術館で開催されている
原三渓の美術 伝説の大コレクション」を鑑賞してきた。

展覧会の宣伝等で前面に押されている、国宝「孔雀明王像」。

この絵は1903年に原が井上馨から1万円で譲り受けた逸品。
ちなみに当時の1万円は現在の1億円くらいの価値。

その際、井上と原との仲介役を果たしたのが高橋箒庵
井上から「孔雀明王像」を預かった高橋はこんな記述を残している。

「この仏画の彩色は、すべて鉱物の粉末を使用しているから、夜分になって電燈に映ずれば、五彩燦爛人目を眩して、その荘厳美麗なる事、この世の物とも思はれぬ程であったので、私は自家所蔵品のすべてを売払って、この一幅を所持しようかと考えても見たが…」

今回の展覧会で実物を初めて目にすることができたが、
金箔を糸のように細く切って貼る截金の装飾技法が用いられており、
製作にとてつもない労力を要した絵であることがよく分かった。

明治時代ですら「荘厳美麗なる事、この世の物とも思はれぬ程」ならば、
製作当時の平安時代の灯りに照らされて、闇夜に浮かび上がったら…。

ふと谷崎潤一郎「陰影礼讃」での羊羹語りを思い出しつつ、

ガラス越しにライトで照らされた形では真の感動はないのだろうなと。

生活から生まれた芸術なのか、芸術から生まれた生活なのか…。
原三渓のような贅沢なあいまいを楽しむことはできないが、
これからも様々な展覧会に足を運んでみたい。

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