その昔、マクルーハン「グーテンベルクの銀河系」が、
活版印刷術の登場が音読から黙読への転換点との指摘に出会い、
日本のはいつ頃なのかな?と調べても、よくわからなかった。
- 音読社会から黙読社会への転換点(12/03/18)
- 梁塵秘抄の変遷/音読社会から黙読社会へ(12/12/22)
でも最近、出口顯「声と文字の人類学」に手がかりを発見。
1872年に日本で最初の公立図書館「書籍館」が設立された際、
その規則の中に音読禁止が明記され、
以後設立される図書館に広がっていったのだという。
そして1898年に発表された小説「淡雪」のなかで、
駅の待合室で新聞を黙読する紳士と新聞を音読する若者が、
口論から殴り合いに発展する場面が描かれているという。
音読と黙読の対立から、次第に黙読が優勢になっていき、
1906年に夏目漱石が「音読と黙読」という題で寄稿し、
「思考を凝らして読むべき書籍をベラベラと読むでは読者自身に解らないのみならず、あたりのものも迷惑な話ではないか。」
音読すると意味が取りにくくなると説いている。
以上のことから、日本では明治初期に黙読が定着したようだ。
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