推理小説と株式投資。似ていて非なるもの。

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20歳前後の頃は推理小説ばかり読んでいた。
特に好きだったのがエラリー・クイーン国名シリーズ

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主人公の探偵、エラリー・クイーンが犯人を言い当てる直前に、
著者から「読者への挑戦状」と題した一節が挿入され、
これまでの伏線からあなたも犯人が分かるはずだと宣言する。

犯人を当てられた記憶はまったくないのだが、
論理的に正しい道筋を進むことができたなら正解にたどり着ける。
そう信じられるから、物語をより楽しむことができたのだと思う。

クイーンに倣って自作の推理小説を書いてしまうほど没頭したが、
やがて私の関心は株式投資に移っていく。

もしかすると、株価や企業の業績を振り返り、
なるほどあれが伏線だったのか!と腑に落ちる感覚が、
犯人を探しながら読み進める推理小説に似ていたから、
株式投資に関心を持ちやすかったのかもしれない。

しかし株式投資は推理小説とは違い、
犯人(=未来の株価)が分からないまま延々と続く物語のため、
事件解決という結論に向かって読み進めるという感覚はない。

そして株式投資が物語として成り立つのは、
ある時点の成功・失敗について過去を振り返る時に限られる。
その際には、ありのままの過去の事象を拾い集めるのではなく、
物語として印象的なものになるよう勝手に編集を加えてしまう。
しかもこれから起きる事象によって、物語は編み直され続ける。

ゆえに投資の体験談なんてものは本人にしか意味のないのだが、
なぜか推理小説と同じような感覚で読んでしまいがち。
このあたりを混同しないように注意が必要だ。

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