1930年に発表されたオルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」。
冒頭にこんな文章がかかげられている。
「今日のヨーロッパ社会において最も重要な一つの事実がある。それは、大衆が完全な社会的権力の座に登ったという事実である。大衆というものは、その本質上、自分自身の存在を指導することもできなければ、また指導すべきでもなく、ましてや社会を支配統治するなど及びもつかないことである。」P11
そしてオルテガの言う「大衆」とは、
「大衆とは良い意味でも悪い意味でも、自分自身に特殊な価値を認めようとはせず、自分はすべての人と同じであると感じ、そのことに苦痛を覚えるどころか、他の人々と同一であると感ずることに喜びを見出しているすべての人のことである。」 P17
独裁者の圧政から人々を解放した民主主義。
でも数のルールにしたがい、周囲にあわせる必要性から、
なんの美学や道徳律もなしに生きる人間を多く生み出した。
「かつて理想であったものが現実の構成要素に代われば、それは必然的に理想ではなくなるということである。」P29
日本の首相がコロコロ変わる一因とも言えるオルテガの指摘。
あらゆる「知」を解放したインターネットの登場は、
大衆の解体のきっかけになるかと思いきや…
- IT革命後の情報と知性のせめぎ合い(12/08/29)
さらなる烏合の衆を育成するツールになっていった。
ネット活動解禁の次回選挙はどうなるのやら。
また大衆の波に飲まれ、得体の知れない安心感につつまれれば、
自らの人生に創造的にかかわることもできなくなってしまうかも。
そうなると生きていくこと自体に苦痛をおぼえるようになるだろう。
「数寄者」の精神を心のどこかに持っていなければ。。。
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