万葉集、古今和歌集の星の和歌

そういえば子供の頃「欲しいものは何?」と聞かれると、
星がたくさん見える空!」なんて答えていたっけ。
都会っ子ならではの感覚かもね。

もしも地球が雲や霧に覆われた惑星だったら?
私たち人類は夜空を彩る星々を知らずに生きているから、
天文学や暦はもちろん文化・芸術も進歩しなかっただろう。
そう考えると、今の都会の夜空はちょっと寂しい。

古代の日本人はどんな想いで星空を見上げていたのか?
古典における星空の名文といえば、
建礼門院右京大夫(1157~?)が描いた冬の星空。

もっと時代を遡れないかと調べてみたところ、
万葉集に星を詠った和歌が2首あった。※七夕の和歌を除く

北山に たなびく雲の 青雲の
星離れ行き 月を離れて

天の海に 雲の波立ち 月の舟
星の林に 漕ぎ隠る見ゆ

1首目は持統天皇(巻2・161)。
青雲は亡き天武天皇、星は皇子、月は自らを重ねた歌。
2首目は柿本人麻呂(巻7・1068)。
夜空を海、雲を波、星は林に、月を船に見立てた歌。

柿本人麻呂の和歌はその情景が目に浮かぶいい歌だけど、
星そのものの美しさを詠った和歌とは言えない。

古今和歌集にも1首だけ星が詠われた和歌がある。
紀有朋(貫之の叔父)が詠った(1029)。

あひ見まく 星は数なく ありながら
人につきなみ まどひこそすれ

あなたに会いたい想いは星の数ほど…
今でも「数え切れないほど多くの」という意味で、
「星の数ほど」って表現をするけどその原点かもね。

でもなんだか万葉集も古今集も私が求めていたものと違う。
古代の日本では、星空にロマンを、といった感覚はなく、
あくまで暦や占星術の対象だったのかもしれない。