奈良を詠った万葉集の和歌。
あをによし 奈良の都は 咲く花の
にほうがごとく 今盛りなり
ここで詠まれている「花」は何の花を指しているのか?
小野妹子のひ孫にあたる小野老(おののおゆ/生年不詳~737年頃)が、
大宰少弐として大宰府に派遣されていた時に詠んだとされる。
和歌に詠まれた花といえば「桜」となるのは古今和歌集の頃だから、
やっぱり「梅」かな? でも百人一首に「奈良の八重桜」もあるな…
いやこれは「藤」であり、藤原氏の繁栄を詠んだ和歌だ!
という解釈を前回の記事で登場したガイドの川向さんが教えてくれた。
文武天皇と藤原不比等の娘、宮子との間に生まれた聖武天皇が724年に即位。
729年には不比等の息子四兄弟が政敵、長屋王を死に追いやり、
藤原氏がいよいよ政治の実権を握ろうとしていた時期に詠まれた和歌。
なるほど時代背景を踏まえれば、単なる望郷の和歌ではないようだ。
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