先進国の労働環境に関する現状認識をザックリと。
かつてロバート・ライシュが「暴走する資本主義」が指摘した、
1人3役(株主・社員・消費者)の自己矛盾。こんなイメージ。
近年の企業経営は、株主と消費者を重視し、労働者は後回し。
賃金の安い新興国が政治的・経済的に安定するにつれて、
製造業を代表とする労働集約型雇用は、新興国へ流出していった。
その結果、先進国の中間層は就職が難しくなり、格差が広がった。
かつて日本の企業はROEが低いとダメ出しされたものだが、
利益率偏重の経営を無視したおかげで、国内製造業はなんとか残った。
デフレのおかげで賃金が上昇しなかったのも幸運だったと言えるかも。
一方のアメリカは、20世紀後半から利益率の高いIT産業へシフト。
しかし、タイラー・コーエンが「大停滞」の中で指摘したとおり、
GoogleにはかつてのGMやフォードのような雇用創出能力がなかった。
日米の失業率の差について、以前は働き方や習慣の差と書いたけど、
どれだけ国内に製造業を残せたかの差、という解釈が正しいかも。
アメリカも国内の雇用確保には「ものづくり」が不可欠と気付いたのか、
オバマ大統領は昨日の演説で製造業重視を打ち出したが、はたして…。
そして長引く円高により、日本の製造業は今後どうなっていくのか?
もちろん製造業にかぎった話ではない。
先進国の様々な産業が新興国の脅威にさらされる流れは変わらないだろう。
グローバル化とは、顔も知らない誰かと競争することだったのだろうか?
とりあえず今、職があり、多少なりともお金に余裕があるのなら、
新興国を含む世界中で利益をあげている企業の株式に投資しておく、
というのも、先進国の労働者の自己防衛策として有効かもしれない。
コメント
ここの管理人さんは人がよすぎて困ったもの。
シンプルにぶっちゃけたら、
・単純作業の雇用はどの国にも必要
・自分は違うなんて思うなよ
ってことを伝えたいのでしょ?
あれ?
久しぶりに投資の記事を書いたつもりだったんだけどなぁ…(苦笑)
ご指摘のとおり、先進国の人だから新興国の人より優れている、なんてことはないわけで。
究極のグローバル化を考えると、個々人のできる仕事に応じて住む国を決める、なんてところまで突き詰めないと、職を失い、格差が広がってしまいますね。