「時」というテーマに関心を持ったのはリーマン・ショックの頃。
株価が大きく変動する時は、普段より時間が早く進むように感じた。
以来、時にまつわる気になる記述と出会うたびにメモを残してきた。
それらすべてのブログ記事をNotebookLMに読み込んで、
これまでに私が学んできたことを整理・編集してみた。
時間概念の変遷:東洋と西洋、循環と直線
- 古代ギリシャでは、時間は循環するものと捉えられていた。ヘロドトス「歴史」に登場する、ソロンとクロイソスの問答「人間死ぬまでは、幸運な人とは呼んでも幸福な人と申すのは差し控えねばなりません」はその一例であり、人生の評価は死によって完結するという考え方が示されています。
- ユダヤ・キリスト教の影響が強い西洋社会では、天地創造から終末へ向かう直線的な時間の流れが認識の中心になった。この直線的な時間認識は、社会の進歩・発展という概念と結びつき、現代資本主義の根幹となっている。
- 日本では、中世までは未来は「未だ来らず」であり、過去は「過ぎ去った景色」として認識されていた。つまり過去が前方に、未来が後方に存在していた。しかし、16世紀に入るとヨーロッパから機械時計が伝来し、現在から未来へ進むという現代の時間の流れが意識されるようになった。
時間の流れは主観で変わる:相対性理論と心の状態
- 20世紀に入ると、アインシュタインの相対性理論によって時間の概念は複雑化していく。特殊相対性理論は、時間と空間を統合した「時空」という概念を提示し、時間の流れは観察者の運動状態によって相対的に変化することを明らかにした。
- 人間の心理状態も時間の認識に影響を与える。何かに熱中しているときは時間が経つのが早く感じられ、逆に退屈な時間は長く感じる。これは、心の状態が時間の流れに「奥行き」を与えることで、時間の「速度」が変化するためだと考えられる。
時間と人間の幸福:充実感と「今」を生きる意味
- 13世紀の禅僧・道元は「正法眼蔵」の中で、時間を「現在」の連続として捉える時間論を展開。また「有時」の章においては、時は自分の外側を流れるものではなく内側に存在するものであり、自分が「今」と認識してはじめて時が現れると説く。
- 禅語「遊戯三昧」が示すのは、遊びに熱中するように「今」に没頭することの大切さ。
時間と未来予測:不確実性と人間の限界
- ラプラスの悪魔:決定論的な世界観に挑戦し、たとえ完璧な知識があったとしても、未来の出来事を確実に予測することは不可能であることを示唆している。
- 歴史主義の限界:カール・ポパーは、歴史から普遍的な法則を導き出し、未来を予測することは不可能であると主張した。未来は、人間の自由意志、予測不可能な出来事、知識の限界によって形作られるから。
- 現在・過去の出来事は、未来の出来事によって再評価され続ける。よって過去の出来事から未来を予測することは不可能。現在の株価が割高か割安かという議論も同じだ。
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