音読社会から黙読社会への転換点

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マクルーハングーテンベルクの銀河系
「銀河系」なんて不思議な題にひかれて図書館で流し読み。

そうか、活版印刷術の登場が音読から黙読への転換点だったのか。
写本など人が介在していた頃は音読だったけど、
機械的に印刷するようになって、人々は書物を黙読するようになった。
聴覚中心から視覚中心の世界への転換点でもあったわけだ。

マクルーハンはこれに伴う精神面への影響や近代国家の形成など、
グーテンベルクを中心に広がる銀河のような仮説を次々繰り出すが、
なんだか難しすぎて、図書館で借りてくるほどのやる気は出なかった。

代わりに印刷の歴史について調べてみたら、
現存する世界最古の印刷物は、なんと日本の「百万塔陀羅尼」(770年)。
日本では中国経由で早くから木版印刷が寺院を中心に盛んだった模様。
夢窓国師「夢中問答集」(1344年)も木版印刷術のおかげで今も読める。

だからといって日本で西洋よりも早く、
音読から黙読の転換が起きたのかは、よくわからない。

ちなみに活版印刷はイエズス会とともに戦国時代の日本にやってくる。
ただ漢字やひらがなと文字数が多く、活版印刷の普及しなかったようだ。

ここで木版印刷と活版印刷の違いを整理してみる。

  • 木版印刷…1枚の板に文字や絵を彫った版で印刷
  • 活版印刷…1字ずつ彫った文字が独立した活字を版に組んで印刷

もしかすると、江戸時代に浮世絵が生まれた背景には、
木版技術が活版に駆逐されなかったおかげ、みたいな話もあるのかも。
印刷技術から文化の違いを見る、なんて試みも面白いかもしれない。

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