生きる限り求めてしまう三つの欲/徒然草242段

年末年始に経済誌向けの原稿を書いていて字数調整に苦戦した。

こういう体験をしてあらためて、枕草子や徒然草はすごいなと思う。
短くまとまっていて内容も深い。

最近あまり古典に触れていなかった気がしたので、
パラパラと眺めていて、目にとまった徒然草の242段。

徒然草242段

「とこしなへに違順に使はるる事は、ひとへに苦楽のためなり。楽と言ふは、好み愛する事なり。これを求むること、止む時なし。」

人は生きている限り、幸不幸に一喜一憂するのは、ひとえに苦楽のため。
苦楽の楽とは好みを愛することで、これを求める気持ちには終わりがない。

「楽欲する所、一つには名なり。名に二種あり。行跡と才芸との誉なり。二つには色欲、三つには味ひなり。万の願ひ、この三つには如かず。」

すべての願いは次の三つより大きいものはない。

  1. 名声(社会的地位や才芸に対するもの)
  2. 色欲
  3. 美食

「これ、顛倒の想より起りて、若干の煩ひあり。求めざらんには、如かじ。」

しかしこれらの欲は多くの苦しみを引き寄せる。求めないのに越したことはない。

美食を批判するが、料理上手を讃える一節も

人間が生きている限り求めてしまう欲について書かれている。

人の名声・色欲・美食への願いは、他のどの願いよりも大きく、
これらの欲は苦しみを引き寄せるから、求めるべきではないとのこと。

名声や色欲については他の段でも批判の対象なので繰り返しだけど、

「世の人の心惑はす事、色欲には如かず。」(8段)

「名利に使はれて、静かなる暇なく、一生を苦しむるこそ、愚かなれ」(38段)

美味しいものを食べたい!という欲はダメなのか…、たしかにやめられないが。

ただ兼好法師は人が身につけたい才能を述べた段で、

「食は、人の命なり。良く味を調へ知れる人、大きなる徳とすべし。」(122段)

人間にとって食は命のもとだから、料理の才能は大きな徳であると。

今年の正月もちゃんとおせち料理を作ったから、美食の欲を許して欲しいのだ。
(海老だけは冷凍を解凍したもの。あとは年末に2日がかりで調理した。)

ちなみにレシピは「NHKきょうの料理 2016年12月号」の高橋拓児さんのもの。
これが美味しくて3年連続で同じレシピで作っている。オススメだよ。

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