最悪の事態を予言すれば、偉大な予言者としてもてはやされる。

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前回、一部を紹介した、スティーブン・ピンカー「21世紀の啓蒙」で、
ぜひとも頭の片隅に置いておきたい話がもうひとつ。

知識人とメディアが過度な悲観論に傾く理由は何か?

昨年の春以降、特にワイドショー番組に出演する専門家から、
次々と悲観論が発信され、ウンザリすることも多かったのでは? 
身近では父が完全に洗脳され、母を家に軟禁するという困った事態に…。

なぜこんなことになるのか、著者が端的にまとめている。

「少なくとも古代ヘブライの預言者たちが社会批判と大災害の警告を混ぜこぜにして以来、悲観主義は道徳的誠実さと同一視されてきた。ジャーナリストは悪い面を強調することが自分たちの職務だと、つまり番犬となり、悪事を暴き、告発し、鈍い人々の目を覚まさせることにつながるのだと信じている。そして知識人は、未解決の問題を掘り起こし、これこそ社会が病んでいる証拠だと主張すれば、すぐに耳を傾けてもらえると知っている。」(上巻・P103)

最悪の事態を予言すれば、偉大な予言者としてもてはやされる。
これが人類史の型として定着しているから、逃れることはできない。

もちろん、私たちが悲観論を求めているから、という点も見逃せない。

  • 悲観論は自分たちを助けようとするもの
  • 楽観論は自分たちを騙そうとするもの

という認識を情報の受け手が持っていることが悲観論を育てることになる。

そういえば相場の格言に「上げ100日、下げ3日」というものがあるが、
悲観好きの私たちの心が、株価暴落を招いているのかもしれない。
そして、こういう時にしか真の投資の機会は訪れないので、

常に心に留め、大衆と同化しないように気を付けたい。

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