夢窓国師の世界を読み解く方法/「夢中問答集」25~29段を中心に

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引き続き「夢中問答集」を読み直す中で、
夢窓国師が説いた、悟りに至る考え方のようなものが、
今の私たちが世界をいかに読み解くか?
という方法を探す手助けになるのではないかと感じた。

夢窓国師は「仏道」とは逆の道を「魔道」と呼び、

「有所得の心に住して、自を是し他を非する故に、仏道の障りとなれるなり。」(19段)

「有所得の心(何か特別のものを得たという自負)」が捨てられなければ、
自分は良い、他人は悪い、と決めつける心に囚われる。
それではいったん悟りを得たとしても、魔道に墜ちてゆくことになる。

古くは老子が美や善と判断しようとするから、悪や不善を生むと説いていた。
なにかしらの経験を積むと、善悪に境界線を引きたくなるものだ。
しかしそれがもたらす結果はロクなものでないことが多い。

ゆえに知識や経験から生まれる慢心が一番の敵なのだ。

「もし本分の大智にかなへる人は、慢心をもおこすべからず、憤念をも生ずべからず、智慧をも貴ぶべからず、愚癡をもきらふべからず。」(25段)

「本分の大智(真の悟り)」を身につけた人であれば、
自分の智慧に慢心を起こすこともないし、他者に憤りを起こすこともなく、
智慧を貴ぶことも、愚癡を嫌うこともないのである。

また悟りから遠ざける囚われた考えを「妄想」と表現し、

「諸々の聖賢の、智力を逞しくし、徳用を現はし給ふを見聞きして、羨む心を起こして、或は内外の典籍を習学し、或は祖師の言句を記持し、或は神通妙用を求め、或は奇才俊弁を願ふ。皆これ妄想の病を増する因縁なり。」(28段)

悟りに達した聖人・賢人が智力や徳を発揮していることを妬んで、
仏教以外の典籍まで読みあさったり、禅宗祖師の言句を憶えたり、
人とは違った怪しげ才能を求めることは、妄想の病を酷くするばかり。

株式投資でもそうなのだが、自分だけが知らない情報があるのでは?と、
経済ニュースやバフェットをはじめとする投資の賢人の言葉を追い求めがち。
だがかえって頭がゴチャゴチャになり、損失を重ねてしまうのがオチなのだ。

ではどうあるべきなのか?

本当の悟りは自分の内側にある(「皆我が屋裏の事」27段)のだから、
妄想するのはやめよ(「莫妄想」29段)というのが、夢窓国師の教え。

禅の本質をそのまま捉えるのは難しいので、近い形に読み換えると、
自分の中にたしかな価値観や美学がなければ、
何をやっても妄想の中であがいているだけになる、といったところか。

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