江戸時代の学びに対する熱意

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田中優子×松岡正剛の対談シリーズ第二弾「江戸問答」。

私塾や藩校の話の中で、大分県日田の「咸宜園」が、
関東や東北からも門下生を5,000人近く集めたことを例に、

「江戸時代の学問の目的は聖人(立派な人)になることでした。就職や出世が目的で学ぶわけではないんです。人格者になるという目的のために可能なかぎり情報を集めて、遠方の学校に行く。こういう行動をとる人たちが日本全国にいたということは、いまから考えると驚くべきことです。」

そう言われてはじめて、とてつもない事だと気付かされる。
もちろんその当時は目指す私塾には徒歩で尋ねるのだから。

今の私たちの学びの主な動機は「お金のため」。たとえばその最たるものがMBA。
しかし江戸時代の人々は個々人が生活の中で考えを深める方法を求めていた。

それなのに江戸時代の日本は経済成長率でイギリスに次いで世界第2位だった。
そして咸宜園のパンフレットによると歴史に名を残した門下生は数多い。

地位や収入を求めて学ぶ今の私たちは、そこは昔の人に負けていないと思いきや…
人間性や好奇心を追い求めて学ぶ江戸時代の人々に叶わないという無念。

私塾や藩校のような「知的集積の場」が土台になければ、社会は豊かにならないということか? 

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