投資家視点で読む、ラ・ロシュフコー「箴言集」

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ラ・ロシュフコー(1613~80)は、ルイ14世の時代のフランス名門貴族。
フロンドの乱(1648~53)で絶対王政に反対する反乱軍として戦い、敗北。
以後は政治に関わず、当時のサロンで流行だった格言集を披露し人気者となった。

短い言葉で人間の本質に迫る「箴言集」は、読むたびに新たな発見のある名著。

人生論として編集したこともあるが、今回は投資家の視点で。

富の蔑視は、哲人たちにあっては、自分の価値に正しく報いない運命の不当さに、仕返しをしたいという密かな欲望であった。その手段として、運命が彼らに拒否した恩恵そのものを蔑視したのである。それは貧しさゆえに堕落から身を守る秘訣であったし、彼らが富の力で得ることができなかった名望に、行きつくための回り道だったのである。【54】

思えば十数年前までは「お金は汗水たらして稼いでこそのもの」
というマッチョな考えがまだ残っていた時代で、
投資でお金を稼ぐこと(ましてや本業が個人投資家)は軽視されていた。

最近はiDeCoやNISAの普及でイメージが変わってきたが、
やはり何事もバランスが大事なのだと思う。
哲学者気取りでお金がすべてではないと背を向けていては、
今の経済の仕組み上、搾取される側から抜け出すことはできない。

でもお金を神のように信仰するだけでは、どこかで後悔することになる。
中途半場な知恵でお金を得ようとする者に、証券市場は容赦がない。
また高配当を謳った投資詐欺に騙されることもあるだろう。

単に無知だから利口者に騙されずにすむ、ということも間々ある。【129】

だからあえて投資に手を出さない、というのも懸命な判断と言える。
雰囲気に流されるのではなく、熟慮の末に決断することが重要だ。

幸運に耐えるには不運に耐える以上に大きないくつもの美徳が必要である。【25】

投資の成果は運・不運に左右されることも多い
特にリーマン・ショック以降の十数年は、謎のユートピアが続く。
これを自らの実力と過信していては、いつか足元をすくわれる。

物事をよく知るためには細部を知らねばならない。そして細部のほとんどは無限だから、われわれの知識は常に皮相で不完全なのである。【106】

これまで(過去・現在)の評価は、これから(未来)起きることによって、
編集し直されるから、過去・現在の分析は未来に対して無力なのでは?

人間の幸不幸は、運命に左右されるとともに、それに劣らずその人の気質に左右される。【61】

結局、投資は技術よりも心のありようが試される世界なのだろう。

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コメント

  1. たいこもち より:

    ラ・ロシュフコー「箴言集」ですきなのは「人は他人の不幸には耐えることができる」ですね。

    • 吉田喜貴(まろ) より:

      私が一番好きなのは「人は決して自分で思うほど幸福でも不幸でもない。」かな。