新潟県に縄文土器を見に行った。
事前にちゃんと調べていなくて現地で驚いたのは、
上部がメラメラの「火焔型土器」は新潟特有の土器だったこと。
火焔型土器が最も多く出土しているのは新潟県内の信濃川流域。
特に信濃川中流域に集中していて、今回訪問したのは、
- 津南町「農と縄文の体験実習館なじょもん」 堂平遺跡の土器
- 十日町市「十日町市博物館」 笹山遺跡の土器(国宝)
- 長岡市「馬高縄文館」 馬高遺跡の土器
国宝・笹山遺跡出土深鉢形土器
新潟県で唯一の国宝指定。
縄文土器は今と違って高温で焼いてないから壊れやすく、
しかも煮炊きの料理に使われていたため利用底部が特にもろい。
縄文人が使っている時点で多くは壊れていると考えられ、
出土した際の一般的な残存率は50%前後。
でもこの国宝は残存率が95%の状態で出土されたという。
東京の博物館と違って、写真撮影OKなのが嬉しい。
発掘された場所も訪問。
雪が残っている所に桜という珍しい風景に出会った。
火焔土器と火焔型土器は違うもの
「型」のありなしには違いがあることを学んだ。
- 火焔土器:1936年に新潟県長岡市の馬高遺跡で最初に発見された土器1つだけの呼び名
- 火焔型土器:火焔土器と同じような形の土器全般
馬高遺跡の火焔土器(馬高縄文館)も写真撮影OK。
名称は違えど、前述の国宝土器と姿はまったく同じに見える。
火焔型土器の無用の用
土器が好きな方には、津南町の「なじょもん」がおすすめ。
発掘された遺跡の整理室が開放されていて、
調査員の方がめちゃくちゃ丁寧に説明してくれるし、
本物の土器に触れたり、持って写真を撮ったりできる。
実際に触ってみると、調理器具としては火炎部分が謎。
できた料理を取り出す際に邪魔すぎる。
でもシンプルな形の土器よりも興味をそそられるし、
あの岡本太郎が心を動かされたことでも有名。
合理性を突き詰めただけでは、人の心に響くものは生まれない。
「人は皆有用の用を知るも、無用の用を知る莫きなり」(荘子 人間世編 第九章)
人はみな役立つことの価値は知っているが、
無用に思えるものが真に役立つことだと分かる者はいない。
「無用の用」を実体験できた、新潟の火焔土器巡りだった。
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