琵琶湖の北。
かつて敦賀からの物資を京都へ輸送する要衝の地だった海津港。
そのすぐそばで江戸時代から続く鮒寿し屋「魚治」が営む宿。
2018年の台風被害で全壊するが、2021年に復活。
2019年以来、2度目の琵琶湖旅にあたり、妻が行きたい!と探してきた。
私は「こりあん?琵琶湖で韓国料理なんてヤダ!」という第一声だったが、
料理も景色も最高、ご主人のお話から学びが多い、素晴らしい宿だった。
自分なりにこの地の文化を学び直して、近いうちに再度伺わなければ!
ちなみに名称の由来は、ここを定宿としていた遠藤周作さんが、
自らのペンネーム、狐狸庵を文字って名付けた名前とのこと。
「湖里庵」主人の左嵜謙祐さんに伺ったお話メモ
- 琵琶湖の湖岸は湿地帯が多く、海津ほど湖のそばに街がある場所はない。
- 鮒寿しは蔵に住み着いた乳酸菌で味が決まる。鮒寿司の蔵に入れるのは当主で一子相伝。蔵にいる菌と当主の常在菌で成り立っている。
- 蔵の菌にも好みの食材がある。かつて使っていた滋賀旭27号と現在のコシヒカリに水分量の違いがあったり、海水塩と精製塩にはナトリウム含有量の違いがある。昔と同じ量で作ると味が変わってしまう。
- なれずしの酸味のある米を再現したくて、江戸前寿司は酢飯を用いた。だから名前が「すし」で共通している。
- ビワマスは琵琶湖を海と間違え、海を忘れた鮭。オキアミを食べないからアニサキスもいない。
- 琵琶湖の鮎は苔を食べない。動物性プランクトンを食べて育つ。脂がのって身が食べ応えのある味に。内臓を味わう通常の鮎にはタデ酢が合うが、琵琶湖の鮎には山椒が合う。
写真とともに振り返る
部屋の窓一面に広がる琵琶湖
部屋から旧海津港の遺構も見える。
江戸時代に築かれた風波除けの石垣上に建つ湖里庵。
隣接する地域に加賀藩の飛び地があり、石垣の違いも見どころ。
八寸。
箸置きと右の丸いお皿は琵琶湖真珠を作る貝から作成されたもの。
宿泊後に大津の神保真珠商店に買いに行った。
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