春に大分県臼杵市の磨崖仏群を見てきた。
平安後期から鎌倉時代にかけて崖に掘られた石仏。
最近発行された地方自治法60周年記念貨幣には、
大分県を代表する文化財として絵柄に採用されている。
案内ガイドの方の話を聞いていて、
文化財の保全はこうでなくちゃと感じた話がある。
崩れてしまった石仏を修復する過程で、
たしかにこれは仏様の頭の石だというのが分かるけど、
胴体がどうにも見つからないのでこのまま放置していると。
ちなみにこんな石だ。
地域によって文化財の保護の方法に違いがあり、
- 古いものは新しく改修を加える
- 古いものは古いまま極力手を加えない
という美学の違いが見受けられる。
この放置された石も別の地域であれば、
足りない部分は補って仏様の形に戻したかもしれない。
でも私は手を加えないことが美しいと思う。
ちなみに膝から下が土に埋もれた上に、
頭から草の生えたのがそのままになっている仁王像も。
文化財を古いまま遺していくのは改修するより難しい。
あえて難易度高い方法に挑む臼杵市の美学に頭が下がる
また臼杵市は過去へのまなざしだけでなく、
未来に対しても明確な夢を持った政策をとっている。
小さな上映会で知った臼杵市の農業への挑戦。
真の有機農作物は土作りからはじめなければ!
と2010年に「臼杵市土づくりセンター」を開設。
堆肥には素材の有機物の分解・発酵状況により、
完熟堆肥と未熟堆肥に分類されるらしく、
未熟堆肥を使った有機栽培の野菜は硝酸態窒素が残留し、
人体に悪影響を及ぼす可能性があるのだという。
だから完熟堆肥を作ることからはじめ、
これで育てた野菜を学校給食で子供たちへ。
そんな100年後を見据えた取り組みが臼杵市で進んでいる。
今はこうした自治体の取り組みを
「ふるさと納税」
という形で支援することもできるんだよね。
お礼の品ではなく心を打たれた事業への寄付をしたいものだ。
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