先日紹介した、桜井章一「努力しない生き方」。
「努力」の対義語を「工夫」と捉え、引き算思考を説いた一冊。
そういえば似たような話を説いている本があった。
専門学校の卒業式の式辞が元になっており、
原文は著者のサイトで読むことができる。
著者は企業の人材を4つに分類し、
- 怠け者だけれども目標を達成する人
- がんばり屋で目標を達成する人
- がんばり屋で目標を達成できない人
- 怠け者で目標を達成できない人
組織にとって最も有害な人材は、
「がんばり屋で目標を達成できない人」
であると指摘する。
これはドイツの軍人、ハンス・フォン・ゼークト(1866~1936)の
「有能な怠け者は司令官に、有能な働き者は参謀にせよ。無能な怠け者は、連絡将校か下級兵士にすべし。無能な働き者は、すぐに銃殺刑に処せ。」
という名言に基づいている。
なぜ組織にとって有害なのか?
怠け者で目標を達成できない人はそのうち退職するが、
がんばり屋で目標を達成できない人は、
「仕事の仕方を変えて目標を達成しようとはせずに、時間をさらにかけて達成しようとする。これが努力をする人が目標を達成出来ない理由です。」
「努力主義は実はエゴイズムであって、自己のやり方を変えない。努力する人は謙虚なように見えてそうではない。むしろ自分に固執する偏狭な人なのです。」
と著者は指摘している。
日本は解雇条件が厳しいから、この手の人は本当に迷惑だよね。
このように桜井章一、芦田宏直、両氏ともに、
思考の硬さに「努力」というキーワードをあてはめているが、
努力そのものが無意味だ、と説いているわけではない。
結局は古くから繰り返される教えの焼き直しなのだ。
天下に水より柔弱なるはなし。
しかも堅強を攻むる者、これによく勝るものなし。
そのもってこれを易うるなければなり。
弱の強に勝ち、柔の剛に勝つは、
天下知らざるものなきも、よく行なうものなし。
この世に水より柔らかく弱いものはないが、
弱さが強さに勝ち、柔らかさが堅さに勝つのが世の定め。
と老子は説いた(78章)。
もし、努力しているのに報われないと感じているのなら、
自分を押し通し、同じ場所で無限ループしているのでは?
自らの考えに固執せず、あやまりを素直に認め、
しなやかに方法を見直していかなければ、前へ進めないよ。
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