毎年この時期に七夕の和歌を紹介してきた。
最近は歌人に着目して編集してきて、
平安時代以降は顔を合わせるのは1年に1度とはいえ、
いつまでも続く織姫と彦星の恋への憧れ、
が主題だったのかな、というのが見てとれる。
さて今日は七夕の風習に関する和歌を三首。
あまの川 とわたる船の 梶の葉に
思ふことをも 書きつくるかな
七夕の と渡る船の 梶の葉に
幾秋書きつ 露の玉草
急ぎ起きて 庭の子草の 露ふまむ
やさしき数に 人や思うと
一首目は上総乳母「後拾遺集」242、
二首目は俊成女(藤原俊成の孫)新古今集320、
三首目は西行の山家集258、からとった歌。
この時代、草葉にたまった夜露を硯にとって墨をすり、
梶の葉に歌をつづって、七夕の星に手向ける風習があった。
短冊に願いを書いて飾るのは江戸時代になってからだ。
夜露を天の川から落ちた滴と考えていたらしく、
梶の葉を用いたのは、たんに葉が大きく書きやすかっただけか、
はたまた神聖な力を持つ葉だと考えられていたのだろうか。
※梶の葉は諏訪大社の神紋。
天の川の滴を集めて、七夕の星に願いかけた歌の内容は、
やっぱり恋の成就を願った歌だったんだろうね。
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