KPMGあずさサステナビリティのセミナーメモの続き。
基調講演は徳川家18代目の徳川恒孝氏だった。
まずは「日本の特殊性」について。
- 負けた相手を皆殺しにしない戦争
- 島国ゆえに異文化が通り過ぎずに堆積する
異文化を破壊するのではなく吸収する方法知があるから、
宗教がらみの争いがない平和な国になったという考察。
私が地図を使って日本を説明するのとなんとなく似てた。
「家康時代の対朝鮮外交」について。
家康は秀吉の朝鮮出兵後の関係修復のため捕虜を帰国させ、
そこから朝鮮通信使がはじまるという、時節に合わせた話。
よくよく考えてみれば白村江の戦い(663年)から現代まで、
日本と朝鮮が仲良くしてたのは江戸時代だけかもしれない。
遣隋使、遣唐使も陸路の方が安全なのにあえて海路だし。
「吉宗時代の質素倹約の世界への転換」について。
お金のかからない代表的な娯楽としてお花見がはじまった。
この時代、学問も娯楽の一部だったという話には驚いた。
そういえば和算には遊びの要素が満載だったか。
また今回のセミナーに出席するにあたり、
徳川氏の著書「江戸の遺伝子」を再読したから、
ここからおもしろい話を拾ってメモ。
- 参勤交代でひとつになった日本
- 江戸は衛生管理が世界で最も進んでいた都市
- 浅間山噴火とフランス革命
参勤交代は莫大なお金がかかる事業だったが、
津軽藩から薩摩藩に至るまで江戸の空気を共有できた。
これが「日本人」として目覚めるきっかけとの指摘。
江戸に人口が密集したことで上下水道の整備が進んだ。
現在に続く清潔好きの日本人像が確立されたきっかけ。
これが「ウォシュレット」にも続くのだろうとの指摘。
また江戸時代の世界史との連動でおもしろいのは、
浅間山が噴火した1783年、アイスランドでも噴火があり、
太陽光が火山灰に遮られて、世界的に飢饉となる。
- フランス革命(1787~99年)
- 寛政の改革(1787~93年)
が同じ時期なのはそういうわけ。言われればなるほど。
最後に徳川氏が一番伝えたかったと思われるメッセージ。
「現在の過剰消費型世界から抜け出して新しい方向性を示すのに世界で最も適しているのは、自然との素晴らしい共生世界を260年も維持して、完全な省資源文明を築いた江戸時代の遺伝子を潜在的に持っている日本人ではないかと思います。」P286
「サステナビリティ」と言えば日本では「江戸時代」。
そして徳川氏は10年くらい前は日本郵船の副社長。
セミナー設計者の知性を感じさせる素晴らしい人選だった。
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