モンテーニュ「エセー」を読む・その2

モンテーニュは1570年、37歳にして裁判官を辞めて隠居。
その2年後あたりから「エセー」を書き始め、初版は1580年に出版される。
この頃、ユグノー戦争(1562~98年)の名で呼ばれる、宗教内乱のまっただ中。
ごたごたの社会情勢の中、人を裁くことに疲れてしまったのだろうか。

年齢について書かれた章では(第57章 年齢について)、

30歳を過ぎて、心身ともに、増えるよりは減った、前進するよりは後退したのはたしかだ。なるほど、時間を上手に使う人ならば、年とともに、知識なり経験なりが豊富になるのかもしれない。でも、活発さや敏捷さ、それにねばり強さなど、人間本来の、とてもたいせつで、欠かせない能力は、色あせて、おとろえていく。」

なんて嘆きのような文章も残している。

とはいえ、30代での隠居では、やはり時間をもてあました部分もあるようで、
暇について書かれた章もある。(第8章 暇であることについて)

「豊かで、肥えた土地の場合、そこを遊ばせておくと、むだな雑草があれこれ無数に生い茂るけれど、この土地をしっかりと活用するには、きちんと種まきをしたりして、われわれに役立つようにする必要があることは見てのとおりである。・・・・・・精神についても、同じことであって、それをなにかのことがらでいっぱいにして、束縛し、手綱を引き絞らないと、想像力という茫漠とした野原のなかを、あちこち野放図に身を投じてしまうのである。

私の夏休みでの生活にも心当たりが…。
あっちこっちに考えがドッちらかってしまい、収拾がつかなくなってきた。
一時期、投資で早期リタイア、って妄言がはやったことがあったけど、
1ヶ月半ほど半リタイア生活を体験して、やっぱり馬鹿げてるなぁと再認識した。

「ひとの求める休息は、まず第一に、肉体と精神をまったく働かせず、あるいはなるべくなまけることによって得られるものではなく、むしろ反対に、心身の適度な、秩序ある活動によってのみ得られるものである。人間の本性は働くようにできている。」by ヒルティ

「仕事の圧迫は心にとってきわめてありがたいものだ。その重荷から解放されると、心は一段と自由に遊び、生活を楽しむ。仕事をせずにのんびりしている人間ほどみじめなものはない。」by ゲーテ

※参考文献
モンテーニュ「エセー」宮下志朗訳・第1巻8章
モンテーニュ「エセー」宮下志朗訳・第2巻57章
ヒルティ「幸福論」第一部
ゲーテ「格言集」