過去の記憶が色あせるから、時の流れを実感できる。

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もしも覚えたことをいつまでも忘れない記憶力があったなら。
そんな能力を手にしたら、状況が変化したときに、
以前の記憶が鮮明すぎて邪魔で、新しい環境に適応できない。

そんな研究結果をネズミを使って示した論文が、
池谷裕二「寝る脳は風邪はひかない」で紹介されていた。

つまり過去の記憶が色あせるから、過去と現在の比較ができ、
だから私たちは時の流れを感じられるということだ。

記憶つながりで“Highly Superior Autobiographical Memory”という、
あまりに鮮明な過去の記憶に悩まされる人の自伝を思い出した。

詳しい内容を覚えていないが、良いことも悪いことも常に鮮明に蘇り、
当時の喜怒哀楽も一緒にくっついてくるから、頭がゴチャゴチャになる。
そんな悩みを打ち明けた一冊だったように思う。

ふと気が付けば、忘れられない過去の記憶、という問題は間近に迫っているのかも。

スマホが普及し、いつでも手軽に写真に残すことができ、
私もこのブログを十数年続け、記事数は3,000近くになっている。
以前よりも過去を振り返ることが容易になりはじめている。
もしもこの先、脳にチップを埋め込み、クラウドとつなぐようなことになれば…

記憶は薄れるから、かつて選ばなかった選択肢に想いをはせ、後悔しがちだが、
過去があまりに鮮明に残っていると、時が前に進まなくなってしまう。

どんな分野でも万能の解決策というのは存在しないのだろう。

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