問答集3(グローバル化、願い事がひとつ叶うなら)

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2019年1月31日の問答より。
投資のはじめたての人たちとの対話をメモ。

問:グローバル化は善か悪か?

答:経済のグローバル化は誰にも止められない。でも政治は国単位のままだから衝突が起きる。

国家予算を上回る経済規模となったグローバル企業が存在する一方で、
政治は一国単位で課題解決を図ろうとして衝突が起きてしまう。
EUの試みも道半ばで挫折している状況で、これはどうにもならない問題。

そもそも「グローバル化」の定義がよく分からないところがあり、
日本では「グローバル化=海外のグローバル・スタンダードに合わせる」
という単一的なイメージへまとめられてしまいがち。

これをスポーツに例えると「サッカー型」といえるだろうか。
有能なサッカー選手は、本場のヨーロッパでプレーすることで成長し、
その経験を日本代表に持ち帰り、ワールドカップで勝利を目指す。
海外から持ち帰った本場の力で日本を「グローバル化」する。

でも今の日本に必要なのは「柔道型」のグローバル化なのでは?
かつて日本の国技・柔道を東京オリンピックの正式種目にするために、
重量制や点数制(有効や効果)に切り替え、自らグローバル化した。
日本固有のものを少しだけかたちを変えて世界に発信する。
観光資源を経済の活性化につなげるのに必要なグローバル化だと思う。

補足:ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス」

著者は民主主義とグローバル市場の間の緊張を解決する方法として、

  1. 国際的な取引費用を最小化する代わりに民主主義を制限して、グローバル経済が時々生み出す経済的・社会的な損害には無視を決め込む。
  2. グローバリゼーションを制限して、民主主義的な正統性の確立を願う。
  3. 国家主権を犠牲にしてグローバル民主主義に向かう。

の3つの選択肢があると説いていた。

すなわちこれは次の3つのうち、 同時に実現できるのは2つまでという話になる。

  • 民主主義(個人の自由)
  • 国家主権(国家の自立)
  • グローバリゼーション(国際的な経済統合)

問:ドラゴンボールが七つ揃ったら何を願うか?

答:サッカークラブのオーナーになりたい。かつての投資家としての最終目標だったから。

問われてすっかり忘れていた夢を思い出した。
20代の頃の目標は、バフェットのような大投資家となり、
サッカークラブのオーナーになることだった。

なぜバフェットがあそこまで投資家として成功したかというと、
保険会社ガイコを買収し、その保険料収入により、
安定的に新規投資資金が得られたことがその一因と考えられる。

この会社を買収すれば似たような道を進むことができる!
という例が身近にあることに気がつき、勝負をかけたのだけど、
当時はホリエモンや村上ファンドが話題で警戒されやすい時期だった。

その目論見が失敗に終わったのが29歳のとき。
思えば早くから投資の世界に触れていたため、
一生に一度あればいいようなチャンスが20代で何度か訪れた。
あの頃の私はいわゆる「やり手」だったのかもしれない(笑)

30歳で「徒然草」に感銘を受け、古典を読みあさりはじめてからは、
中隠」こそが至高の人生だと信じる人になってしまったが。

補足:分かりそうで分からない。その楽しさと幸せ。

それぞれに叶えたい願いを話していく中で、
全知全能みたいなのは、その後の人生がつまらなくなるよね、
という話になり、ふと思い出した羽生善治さんの言葉を2つほど。

「なんとかわかりそうだけれどもわからないことが、一番楽しいんです。もう絶対無理という難題は、普通、あきらめてしまいます。でも、あと10分、20分頑張って考えればわかるんじゃないか、というところまで考えて、なおかつわからないということが楽しいんです。」(羽生善治「勝ち続ける力」

「幸せとは、一箇所にとどまって、これで幸せというものではなく、現在進行形で動き続けているもの、変わり続けているもの。変わり続ける中で、新しい発見があるもの。やりがいを感じることや充実感があることを見つけ続け、探し続ける、そのプロセスです。」(羽生善治「結果を出し続けるために」

人の脳は規則性を見出して型にはめるのが好きだから、
夢や目標を設定して、そこに向かって直線的に進むことを美徳としがち。

でも人生の楽しさや幸せの本質は、

  • 分かりそうで分からないことに出会い、
  • それを考え続けることで変化を楽しむこと

なんだよなーとしみじみ思うのだった。

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