早期リタイアよりも幸福な白楽天流「中隠」生活

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かねてより35歳での隠居を明言し、遂にその時がやってきた2013年。
完全な隠居はあきらめて、別の生き方を探しはじめた。

思わぬ幸運のめぐりあわせで、1年後には新たな形が整った。
収入は通常の3分の1に満たないが、時間の縛りはほとんどない。

それは白楽天がたどり着いた「中隠」生活に近いものだった。

大隠住朝市 大隠は朝市(街の中心)に住み

小隠入丘樊 小隠は丘樊(山の中)に入る

丘樊太冷落 丘樊太だ冷落(寂しすぎる)

朝市太囂諠 朝市太だ囂諠(騒がしすぎる)

不如作中隠 如かず中隠と作り

隠在留司官 隠れて留司の官(名ばかりの地位)に在るには

似出復似處 出づるに似て復た處るに似(官僚のようでいて隠遁)

非忙亦非閑 忙しきに非ず亦た閑なるに非ず(忙しすぎず暇すぎず)

小隠は世俗を避け山に籠もる隠遁のことを言う。

小隠を超越し、街の中心で隠遁生活を全うすることを大隠と言う。

そんな晋の時代の王康琚の言葉(反招隠詩)を受けて、
白楽天は官と隠の間のちょうどいいところを「中隠」と表現した。
そして続けてこう詠う。

人生處一世 人生一世に處る(人生は一度きりのもの)

其道難兩全 其の道兩つながら全くし難し(たくさんのことはできない)

賤即苦凍貴 賤くしては即ち凍餒(餓えや寒さ)に苦しみ

則多憂患憂 貴くしては則ち患(悩み)多し

唯此中隠士 唯だ此の中隠の士(中隠の人だけが)

致身吉且安 身を致すこと吉にして且つ安し(幸多く心安らかだ)

一度きりの人生、多くのことを同時に達成するのはむずかしい。
貧しければ飢えや寒さに苦労し、富めば心労がつきまとう。
だから中隠こそが幸多く心やすらかな人生を送ることができる。

時間的な余裕は心の余裕につながり、昨年の今ごろは、

なんてことを書いていた。

ちなみにこの中で登場する
「私が職業「遊び人」に込めた想いの意味を理解した人」
と今秋に結婚した。
この時まだ交際していなかったが、すでに以心伝心だった。

振り返れば「中隠」生活を整えた時には、
もう結婚しないだろうから自分が食べる分だけ稼げばいい!
と「ひとり遊び」を極めて数寄者を目指す算段だった。

まったく人生って思いもよらないことが起こるものだ。

でも時間に余裕があったから全速力で結婚の準備ができたし、
今は夕飯用意して妻の帰りを待つこともできる。
研究好きの私にとって、料理が今年の新テーマだった。

そしてもしも隠居の道を選んでいたら、
おそらく生涯結婚することはなかっただろう。

交際前の妻と初めて一緒に出かけた鎌倉投信への訪問は、
日ごろお世話になっている会社に同社を紹介すべく、
社長に一番近い人を連れていくという目的もあったから。

投資で早期リタイア!

個人投資家の中にはこの手の目標を掲げる人が多い。
でも完全な自由ではなく中途半端な自由を目指した方が、
幸運に出会う可能性が広がるし、金銭的な不安も少ない。
リタイアではなく「中隠」の道を探ることをお勧めしたい。

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