企業価値評価の憂鬱

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最近、未公開企業の株価鑑定に関する本や判例をいろいろ読んでいる。
率直な感想は、ポール・サミュエルソンが語るよう、
買手と売手が市場で合意した価格に勝る、正確な本質的価値はおそらくない
ただ、未公開企業の場合、たとえ取引事例があったとしても、
お互いどう評価して良いのか分からないまま売買するからあてにならない。
だから裁判所に持ち込んで、専門家が株価の鑑定評価を実施したりするわけ。

でも裁判官は経済のことよく分からず、いろんな評価法で専門家が鑑定したのを
時価純資産法:収益還元法=2:1、ってな具合に適当に案分して判決出しちゃう。

資産価値、収益価値のだいたい2つの方向からアプローチが多いけど、
企業価値は、どっちかの高い方じゃないとおかしいと思うんだよね。
企業価値の評価って、本来は自社の経営状態の把握に使われるべきで、

  • 資産価値>収益価値 → 不採算部門の事業譲渡を検討すべき
  • 収益価値>資産価値 → 事業好調。設備投資を続けて収益向上を図る

これをゴチャ混ぜに案分するだなんて、正気の沙汰ではない。ありえない。

とまぁ未公開株の評価に浸かっていて、ふと普段の上場株に戻ってくると…。
上場企業の場合、市場価格あるよね?価格(Price)と価値(Value)の差???
ちょっとこの辺で頭の中がゴチャっとしてるところ。
企業価値はぼやけていて、そのモヤモヤした範囲内に市場価格がある?

コメント

  1. とよぴ~ より:

    「企業価値はあいまいでぼやけていて、そのモヤモヤした範囲内に市場価格がある?」
    企業の価値なんて人それぞれ十人十色でしょうから価値なんてそもそもわからない
    その「わからない」ものを電卓ではじいて価格を付けようったってひとそれぞれ十人十色でしょうから答えを求める方程式が違ってくる・・・。
    それでも多数の考え方から導き出された現在価格は自分が身勝手に計算した答え(価値)よりも時として正しい場合がある・・・。
    そんなところでしょうか?自分でも書いていてもモヤモヤしてきました(^^)
    サブプライム(二流)ローン証券は本来、格付けがトリプルB(Bbb)でしたがモノラインが保障したことと
    そのサブプライム(二流)証券とプライム(一流)証券を合成したことでビックリ仰天トリプルA(Aaa)を獲得!世にも奇妙な胡散臭い米国の住宅神話が始まりました・・・。
    価値なんてよくわからないし最近は世の中に価値あるモノなんて探したところでホントはどこにもないんじゃないのか?って思えて来ました

  2. まろ@管理人 より:

    とよぴ~さんの語りから1つ分かったこと。
    価値は人の内側、価格は人の外側。
    そしてカエサルは「人は自分の見たい現実しか見ない」と言いました。

  3. もゆ より:

    DCFで企業価値を算定するにも、リアルオプション使うのか、EBITDA使うのか、成長率どうするのか、WACCどうするのかで全然違いますからね。
    上場企業だったら、思い切って企業価値>時価総額じゃなくて、(当座資産-負債全額)>時価総額でザックリ判断するのも手なんでしょうけどね。

  4. まろ@管理人 より:

    そうなんですよ。DCF法って精度が本当に微妙なんですよね。
    旧カネボウの株式買取価格の裁判では、東京地裁に選任された鑑定人がなぜか株式リスクプレミアムを8.5%で計算してしまうという珍妙な事態が起きています。
    この時株主側が提出した書類↓はなかなか面白いです。
    http://mountain-cat.sakura.ne.jp/bell/op/071210_junbi_17_1st_v1.pdf
    あと「財務会計の概念フレームワーク」のご紹介ありがとうございました。
    ネット上にPDFが掲載されていたので、印刷まではしました。
    今どうしようもなく面白い本と出会ってしまい(投資・経済とは無関係)、これを読み終わるまでは放置ですが…。