大津広一「戦略思考で読み解く経営分析入門」

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ビジネスマンの3種の神器は「英語・IT・会計」と言われるようになってから、
財務諸表を用いての経営分析の本が、本当にたくさん出版されてきた。
でもそのほとんどが一度読んだら放置。二度と開くことのない内容のものばかり。
そんな中、本棚の目立つ位置に数年間も居座り続けている会計の本がある。
 大津広一「企業価値を創造する会計指標入門
この本は"経営目標"の視点から会計指標を解説したもの。
そして今回新刊「戦略思考で読み解く経営分析入門」は、
"経営分析"の視点から会計指標を解説した本だ。こっちの方が投資家向きかな。

期待通りの内容に仕上がっていて、序章のB/Sの読み方でダメ出しされた(笑)
「B/Sは数値を見てから考えるのではなく、事前にその姿を想像した上で、これを確認するプロセスとして数値を読む。」
あう…、私はまるっきし逆だった。反省。。。

そして本題の会計指標の記述について紹介しておくと。
第1章は売上高総利益率で、分析対象の企業は任天堂。
分析の王道は分解すること、とした上で、売上高総利益率は、
1.売上高と売上原価への分解 2.製品構成への分解
3.顧客構成への分解 4.事業構成への分解 というステップで分解すべしと説く。
任天堂の場合、四半期ごとの売上高総利益率が極端に上下しているのはなぜ?
とこのステップを使って分析を進め、為替相場の影響は意外に少なく、
「ハードとソフトの総利益率の違いによる構成比率の変化の影響と、第3四半期のクリスマス商戦の販売拡張による原価低減と高価格設定の効果のほうが、総利益率に与えるインパクトとしては圧倒的に大きい。言い換えれば、今後の規模拡張に限界が見られたり、大型ハードの投入がなくなったりすれば、より為替の動向にリンクした総利益率の動きとなることも予測されてくる。」
という結論に達する。

かなりオススメの逸品。
しかし、定性・定量の両面からバランス良く分析された会計の本が、
公認会計士でも税理士でもない方の手によって書かれる…。少し悲しい気もした。
やっぱり資格なんて靴の裏についたガムなんだろうね。

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