西行の和歌集「山家集」をついに手に入れた。しかも350円で♪
人と自然を愛し、いかに無常を生ききるかを詠った西行の和歌。
こんな素晴らしい逸品が、絶版で入手困難なんて困ったものだよ。
西行といえば桜の歌が有名だけど、(→桜の語源と西行の和歌)
藤原定家が百人一首に選んだ西行の歌は、
嘆けとて 月やはものを 思はする かこち顔なる わが涙かな
月と恋のかけ合わせたもの。
西行の歌には叶わぬ恋を月に映したものが多く、
「山家集」のなかから、目にとまったものをピックアップすると…
あはれとも 見る人あらば 思ひなん 月のおもてに やどす心を
弓はりの 月にはつれて みし影の やさしかりしは いつか忘れむ
面影の 忘らるまじき 別れかな なごりを人の 月にとどめて
思ひ出づる ことはいつもと いひながら 月にはたへぬ 心なりけり
恋しさや 思ひ弱ると ながむれば いとど心を くだく月影
ながむるに 慰むことは なけれども 月を友にて あかす頃かな
念願叶って手にしたものより、叶わなかった思い出の方が輝いて見える。
当初は「!」の意味だった「あはれ」がやがて悲哀化したように、
楽しさよりも悲しさの方が、深く心を動かすものだから。。。
そして悲しいときに夜空の月を見上げれば、至極の美を見いだすだろう。
喜びも悲しみも、桜や月の引き立て役にすぎないのかな。
コメント