明日から12月。
やっぱりこの時期は「ふぐ」かな。
本場の下関や北九州あたりでは、
「ふぐ」と濁らず「ふく」と呼ぶのだとか。
毒を持った魚が「福」を呼ぶって感じがいいね。
※近年は天然ふぐの漁獲量トップは石川県らしい
ふぐは江戸時代の頃には広く食べられていたようで、
松尾芭蕉と小林一茶が俳句にふぐを詠んでいる。
この二人のふぐに対する見方は対称的で、
あら何ともなや きのふは過ぎて ふくの汁
河豚汁や 鯛もあるのに 無分別
これは芭蕉の俳句。
ふぐを恐れ、鯛を食べればいいじゃないかと詠う。
五十にて 河豚の味を 知る夜かな
河豚食わぬ 奴には見せな 富士の山
50歳になって初めてふぐを食べた一茶は、
こんな美味いもの食べない奴に富士山を見る資格なし!
と芭蕉を非難するような句を残している。
ふぐの美味は科学的にも立証されているようで、
小泉武夫「食と日本人の知恵」によると、
「フグの肉は他の魚よりうま味の前駆体となるタンパク質の含量が高いうえに、直接うま味や甘みの主体となる遊離アミノ酸が多いこと。さらに、核酸系のうま味成分も多い半面、脂質をほとんど含んでいないから、噛んでいると上品なうま味が湧き出てくるのである。」(P262)
日本人の手先の器用さと包丁使いへの尊敬が、
猛毒の魚を極上の美味に変えたのだから、
日本に住んでいたら年に1度はふぐを食べたいね!
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