意味と価値は世界の外側に/ヴィトゲンシュタイン「論考」6.41

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20世紀の哲学書ベスト3は?

と問われると多くの哲学者は、

  1. ハイデガー「存在と時間」
  2. ヴィトゲンシュタイン「論理哲学論考」
  3. 残り一冊何を選ぶか迷う

と答えるのがおきまりなんだとか。

恥ずかしながら2冊とも途中で挫折したままだ。

ヴィトゲンシュタインの「論理哲学論考」は、

光文社古典新訳文庫が出ていたので再挑戦!

とにかく最後まで読んでみると、

  • 全体の6分の5は「論理的考察」
  • 最後の6分の1は「倫理的考察」

という構成になっていて、

今の私には倫理的考察がおもしろかった。

特に6.41と番号付けられた考察。

世界の意味は、世界の外側にあるにちがいない。世界では、すべてが、あるようにしてあり、すべてが、起きるようにして起きる。世界の中には価値は存在しない。もしも仮に価値が存在しているのなら、その価値には価値がないだろう。

誰もが知りたい「○○の意味」や「○○の価値」。

多くの哲学者にとっては「人生の意味や価値」だろうし、

投資家は「企業価値評価」をイメージするだろうか。

そういえばノルベルト・ボルツが「意味に餓える社会」(1997)で、

「意味を求めることは複雑性からの逃避」と指摘していた。

そもそもこの世界に普遍的な意味や価値は存在しないのだ。

価値のある価値が存在するなら、その価値は、「起きることすべて」や「そうであることすべて」の外側にあるにちがいない。というのも、「起きることすべて」や「そうであることすべて」は、偶然なのだから。

意味や価値を語るには偶然と向き合うのが不可欠だし、

人生を楽しむことは偶然を楽しむことと等しいのだろう。

今年読んだ本ともなんとなくつながるなぁ。

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