ダイベストメント。融資の取りやめは重要だが株式の売却は…

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ダイベストメント(Divestment)とは、投資(Investment)の反対語で、
社会にとって良くない事業や企業から投資や融資を引きあげることを指し、
とくに温暖化に悪影響を与える化石燃料関連の企業への投融資が注目される。

昨日、国連気候変動枠組み条第25回締約国会議(COP25)の開催に合わせて、
こんなリリースも発表されており、

石炭火力発電関連企業への投融資において、

  • みずほ、三菱UFJ、三井住友が融資額で世界1位から3位までを占める
  • 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が投資額で世界2位

東日本大震災以降、国内のエネルギー政策が迷走しているのはもちろん、
アジアでの石炭火力発電所への投融資の多くに日本の金融機関が関わっており、
三大メガバンクによる融資額は2017~2019年の間に393億米ドル。

今年9月に国連責任投資原則(PRI)の銀行版となる、
国連責任銀行原則(PRB:Principles for Responsible Banking)が発足し、
日本の三大メガバンクも署名しているので、相当非難されることだろう。

融資の有無は発電所が建設できるかどうかに影響を及ぼすため、
ダイベストメントすべきというのは分かりやすい話だが、
投資家が化石燃料関連の株式を売却するのは、イマイチ意味が分からない。

株式を売却しただけでは、投資家がその企業を倒産に追い込むことはできない。
証券市場で売買された投資資金は買い手と売り手の間で動いているだけだから、
引きあげた投資資金を再生可能エネルギー事業へ直接投資することで、
既存の化石燃料関連企業の退場を促すところまでしなければ意味がない。

そこまでできないのなら、株主として企業に圧力をかけるべきなのでは?
単に株式を売却するだけなら、社会に良いことしてますアピールだけ。
化石燃料関連事業には将来性ナシと投資収益の観点のみで売却するのと同じこと。

ESG投資が話題になることが増えたのはいいことだけど、
責任銀行原則に署名しただけ、化石燃料関連の株式を売却しただけ、
という見せかけのアピールも増えているように思えてモヤモヤする。

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