世界で最も持続可能な100社・2009~2013

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"World Economic Forum"の年次総会に合わせて発表される

"Global 100 Most Sustainable Corporations in the World"

例年アクセスが増える記事なので2013年度版についてコメント。

年々興味が薄れてきたので、これを取り上げるのは最後にする。

今年は日本企業が11社から4社へと大幅減。

毎年評価基準が変わるせいだから悲観的になる必要はないよ。

Leadership Diversity (リーダーシップの多様性)の基準が変わり、

役員の女性割合の評価が役員だけでなく部長クラスまで広げられ、

この部分は日本企業に圧倒的に不利に働くのが原因。

私も昔はこういうのが大切だと思った時期があった。

でも千年単位で見ると、日本ほど女性の地位が高い国はない

その日本の企業の女性管理職が増えないのはなんでだろう?

直近の数字だけを見て「海外と比べて…」と語るのは浅はかだ。

創造的な物事の端緒は社会全体が見つめているその視線の先ではなくて、むしろ社会を背後えら見通すような視線の延長に発見できるのではないか。先に未来はあるが、背後にも膨大な歴史が創造の資源として蓄積されている。両者を貫流する発想のダイナミズムをクリエイティブと呼ぶのだろう。

---原研哉「デザインのデザイン」P2

持続可能な未来をクリエイティブに語るなら、

現在からほんの少しの未来を見ようとするのではなく、

過去から現在へと通じる視点で、ちょっと遠くの未来を見つめたい。


2012年度版発表の際に書いたもの(12/01/29)

日本企業からシスメックスが新たに選ばれているのが目を引いた。

「知る人ぞ知る会社」というイメージなので、ちゃんと調べてるんだなと。

ただこういう調査にありがちな「100社に投資したらリターンがいいよ!」と

”MSCI All Country World Index (ACWI)”と比較してるけど微妙。

評価基準が定まらず、毎年選ばれる企業が激変したり、

2005年版で選ばれてる企業のうち、10社がすでに存在しなかったり(笑)

そして調査対象が新興国の企業まで広がったのは2010年度版から。

世界にはこんな企業があるんだー、って参考に使う程度がよいかと。

構成企業の所属国、なんてのは今や関係ないかもしれないけど…

120129

そのうちブラジル(現在3社)や中国の企業も増えてくるのかな。


2011年度版発表の際に書いたもの(11/02/14)

日本企業が19社も100位以内に入っていて、昨年の5社から大幅増。

アメリカ企業は13社だから、日本企業の評価がやたら高くなった。

ちょっとブレすぎで、このランキングは投資家に使えそうにないね。

私が考える持続可能な企業の必要条件は、

  • 歴史 様々な経済環境を乗り越えてきた歴史があるか(老舗企業)
  • 哲学 確固たる経営哲学を持っているか
  • 物語 商品・サービスの背景に豊潤な何かを感じさせられるか

の3つが揃っていることかな。

一応、昨年同様、下記に評価基準の変更点をメモ。

1. The number of stocks reviewed for the Global 100 search increased from 3,000 to 3,500

2. The Asia Sustainability Research Alliance ("ASRA") joined the project in 2011, which extended Asia Pacific and emerging market coverage by almost 30%.

3. Sustainalytics joined the project in 2011 to add an extra level of qualitative risk managment by identifying companies with severe ESG controversies. Corporate Knights reviewed controversy research provided by Sustainalytics and incorporated it into its assessment of each company

4.  The key performance indicator “Safety Productivity” (Sales (US$) / lost-time incidents*$50k and fatalities*$1M) was substituted for Sustainability Leadership (presence of a board committee dedicated to sustainability issues).

そんなに日本が有利になるような変更はあるのかな?

3. 4. は何言ってるのかよく分からないし。。。


2010年度版発表の際に書いたもの(10/02/11)

あれ? このデータって去年はこんなにおもしろかったっけ?と首をかしげる。

評価基準に私が欲しくてたまらないESG投資のヒントが満載。

・CO2 Productivity (=売上高÷CO2排出量)

・Water produtivity (=売上高÷水使用量)

・Leadership diversity (=役員の女性比率)

などなど、バックで例のブルームバーグのESGデータが活躍してる。

なるほろ、2010年度版から評価基準が大きく改定されたんだね。

To determine the Corporate Knights Global 100 for 2010, the following significant improvements were made:

1. ESG information was obtained from a group of data providers rather than a single data provider.

2. ESG data was integrated with financial data to enhance analysis.

3. Companies were ranked transparently by a set of ten objective sustainability indicators as opposed to a "black-box" approach.

4. A greater number of companies from emerging markets were included in the analysis.

しかしそのおかげで、100位以内の日本企業が昨年の15社から5社へ大幅減。

だって日本企業は女性比率とか持ち出されると壊滅的なダメージを受けるから。

関連記事

BloombergのESGデータが凄すぎる!(09/12/22)

四季報に従業員の男女比率を載せて欲しい(09/12/12)


2009年度版発表の際に書いたもの(09/01/29)

回を重ねる事に日本企業の数が増えて、2009年度は15社。

※2005年:5社、2006年:10社、2007年:13社

日本のみなさん、少しは自信持ちましょう!

ちなみに、選ばれた100社で運用すると、MSCI World Index を上回るらしい。

"From its inception in February 2005, the Global 100 Most Sustainable Corporations has outperformed its benchmark (the MSCI World Index) by 480 basis points per annum to end of year 2008."

※"480 basis points"って4.8%のことだよね???

また、100社中46社が設立100年超。

一番古いのは1122年設立の"Stora Enso OYJ"(フィンランドの会社)。

100年っていうと、2度の世界大戦を乗り越えたくらい。やっぱ老舗かなぁ…。

関連記事

老舗企業への投資は有望か?(07/10/29)

コメント

  1. Werder Bremen より:

    異議あり(笑)!小生、辞めた会社が100社の中に入っていました(汗)。実態は・・・?決算期末よくありましたが、利益達成のため予算が足りないと、研究予算が削られ実験が止まりました!所謂、セコイ、帳尻合わせ!
    敷地内の倉庫に行くと、ティッシュ・ペーパーやら洗剤、ガムテープなんて基礎的日常品ごときまで枯渇。北朝鮮の市場と間違えたくらいです。当然のことながら、利益追求のため、上下関係がギクシャクし、中間管理職や、部下へのイジメで鬱病、胃潰瘍患者も結構いました、職場の周りに。
    社内の内情なんて、外からの評価機関には判りませんよ!だって、サブプラ関連商品にAAAの評価付けていたのS&Pとかムーディーズでしょ!
    こんな評価って当てになるんですかね?

  2. Werder Bremen より:

    チラッと一覧表見たんですが、結構、”穴”が見つかりました。例えば、積水化学。セキスイハイムもやってはいますが、どう見ても化学品やその加工品の売上、利益とも多く化学会社。ところが業種は「不動産」。ダイキン工業は”クーラー・空調”で機械メーカー。なのに「建設会社」。大丈夫かな、この分析結果?

  3. まろ@管理人 より:

    あ、ホントに変。
    私なんか"Sekisui"で"Real Estate" …「積水ハウス」ね、って思い込んでました(笑)
    1つ目の内部告発?コメントはとっても面白いので、これをネタに記事を書かせて頂きますです。

  4. Werder Bremen より:

    まだまだ、”穴”はあったぞ~。Vestas、風力発電機の会社でしょ、デンマークの有名な?なんでコンピューター、電子部品(機器)なのよ!敢えて分類するなら、重電、発電機も作っている三菱重工業と同じ、”工業・資本財”でしょうね~。フランスのサンゴバン、この分類も微妙。ガラスだからね、建材とも言えるが、CONSTRUCTION?鹿島、大成とかの建設会社のイメージはないけどな~。ユナイテッド・テクノロジーは複合企業だから掴み所がないが、敢えて分類すると”製造業”!どうみてもTransportation(運輸・運送業)ではない!日本郵船はTransportationで正しいが。マトモな分類すらできない分析結果表は・・・?

  5. まろ@管理人 より:

    今日、日本の格付け機関R&Iの代表取締役会長の講演もありましたが、何だかテーマはズレててつまらないし、講演時間完全オーバーで、あまりで合図出しても全然気がつかずにしゃべりまくるしで…。
    時間オーバーで主催者が慌てているのも気づかない人に、企業の異変など分かるわけもなく、トップがこれじゃこの手の機関の評価なんてアテにならんわね。

  6. R&Iの代表取締役会長の講演にはみんなうんざりしてた感じでしたね~…。
    資料の作り方も酷かったですし。
    原さんの話も大幅時間オーバーでしたけど、ちゃんと最後に断ってたから全然マシですね。話は面白かったし(笑)

  7. 赤大将 より:

    NECが95位にいる時点でなんともツッコミ甲斐が(笑)
    半導体関連の状況変化に経営判断が遅れて、大規模な事業縮小
    と大量の解雇(単なる首切りをリストラとは言いたくない)に、
    子会社の清算…。
    一時期は存続すら危ぶむ声が多かったあのNECが95位なん
    ですよね( ̄∇ ̄;) 格付け会社の評価指標的には上位に入る
    あたり、数ある評価基準のほんの1視点にしかすぎないランキング
    だなぁ…と。しかもコメント欄でもツッコミの嵐。
    なんというか、さすが「格付け会社」ですねでって感じがします。
    見方によっては一理はあると思うが、一理しかないという感じで。

  8. まろ@管理人 より:

    いろいろと指標をくっつけてゴチャゴチャにした結果、そもそも会計上持続可能ではない企業もなぜか残ってしまうという…。
    去年の記事にも書きましたが「世界はこんな企業があるのかー」っていう未知との出会いにのみ使えるデータかなと。