経産省「デジタル経済レポート」がおもしろい

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経済産業省の若手官僚がまとめたレポートがかなり興味深い。

日本の国際収支統計におけるデジタル赤字が最近話題になっている。
AmazonプライムやGoogle広告等、様々なITサービスを利用することで、
日本から海外への支払いが右肩上がりに増えているという話。

このレポートではベースシナリオで2035年に約18兆円の赤字を見込み、
悲観シナリオでは最大45.3兆円に達する可能性があると警鐘している。
※現在の原油輸入額を超える規模となる可能性

ここまで詳細な資料も書籍もこれまでなかったと思うので、
100ページ近い分量だがぜひとも一読をおすすめしたい。
気になったところメモ。

「聖域なきデジタル市場」時代へ突入

  • ソフトウェアが売れないとハードウェアが売れず、データがなければ価値あるソフトウェアが生み出せない、「データに全てを飲み込まれる世界」が着実に迫っている。
  • 自動車、衛星、ネットワーク、ロボットなど、あらゆるものがソフトウェアによって定義されるようになりはじめている。

デジタル赤字を生み出す国内市況の構造

  • 日本銀行の国際収支統計では、デジタル収支は経営・コンサルティングサービス、コンピュータサービス、著作権等使用料の3つだったが、このレポートは8つの事業に細分化。
  • アプリケーション、ミドルウェア/OS、計算資源インフラ、デジタル広告といった高利益率・高成長分野の市場シェアは軒並み外資に押さえられている。
  • 日系企業は労働集約型のSI市場(低利益率・低成長)で辛うじて生き延びている状況。しかもAI革命によって今後、蹂躙される可能性が高い。

デジタル関連収支の国際比較

  • 日本の対GDP比での赤字額は特に大きく、GDP1000億ドル以上の国の中で53カ国中49位。
  • 収支構造はドイツに似ているが、ドイツにはアプリケーション事業、ミドルウェア/OS事業で稼ぐSAPやSimensが存在する。
  • 日本は国内市場が中途半端に大きいため、企業が海外に出るインセンティブが働きにくく、結果的に国際競争力を失っている。自国市場にこだわってよいのはアメリカと中国だけ。
  • 日本はイギリスや韓国の国内有力企業の海外展開支援、イスラエルのヨズマプログラムに学ぶべき。

デジタル赤字構造を打破するための戦略

  1. 短期戦略…高品質な外資インフラを最大限活用して投資余力を得る
    • 高利益率・高成長率のアプリケーションおよびミドルウェア/OS事業を大規模に支援し、海外市場からの受取増加を目指す。
    • 先行プラットフォーム事業者がカバーしていない領域をプラットフォームとして奪取し、デジタル広告およびデジタル取引での受取増加を目指す。
  2. 長期戦略…量子技術による大転換に向けて官民の投資を振り向ける
    • 仮想化技術をはじめとしたインフラストラクチャ領域を奪取する。
    • ノイマン型/量子型ハイブリッドの到来に向け、量子ネイティブのミドルウェア/OS、アプリケーションの新市場でシェアを獲得する。

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