竹の開花と大量枯死現象

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薩摩半島から南南西~南西へ約40~50Kmの三島村竹島
島全体が琉球竹におおわれ、その筍「大名筍」が島の名産。

今の時期、麻布十番の「てんぷら前平」で毎年いただける逸品だ。

その竹島の竹林で花が咲いているらしく、
仕入れの際に添付されていた手紙を前平さんに見せていただいた。

「竹島では数年前から「竹の花」が咲いており、この現象は約100年に1度の珍しい出来事です。竹の花が咲くと、ネズミの大事が島を襲うという伝承があります。竹がイネ科であり、その実がネズミの餌になるためです。過去には、この竹の花とともに食料が奪われ、人々は困難な時期を迎えたと言われています。」

竹の開花なんて初めて聞いたし、伝承ってなんだろう?
と関心をそそられて調べてみた。

日本での主な開花記録

種類

開花周期

種子の有無

開花後の再生方法

主な開花記録・影響

真竹

約120年

なし

地下茎からタケノコが再生

196268年一斉開花(国内3割枯死、竹材不足)

淡竹

約120年

なし

地下茎からタケノコが再生

1908年・2018年に開花確認

孟宗竹

約67年(千葉大試験地)

有(稀)

地下茎まで枯死(例外的にごく一部再生)

国内で大規模開花記録なし(局所的開花例のみ)

根笹

約50年

地下茎からタケノコが再生

1970年代関西で開花

開花と枯死のメカニズム

同種の竹であれば世界各地で一斉に開花するものらしく、
遺伝的にプログラムされた内在的な時計機構の存在が考えられるが、
今のところ完全に解明はされていないようだ。

なぜ開花後に枯死するのかも謎で、

  • 長年にわたって地下茎に蓄積してきた栄養分を一度に花と種子の生産に投入して枯死に至る
  • 古い竹が枯死することで、新たに発芽する竹が水分、栄養分、日光を十分に獲得できる環境が整備される

地下茎で繋がってるから一斉に枯れる以外のことは分かってなさそう。

竹の開花は不吉の前兆?

竹の開花とネズミの襲撃の関連性は伝承ではなく、
とくにインドで記録が多く残されている。

  1. 竹の一斉開花が膨大な量の種子を生産し、それが地域のネズミが消費できる量が一時的に急増
  2. 大量に繁殖したネズミが竹の種子を食べ尽くした後、食料不足に直面し、人間の作物や貯蔵食料を襲い始める
  3. 広範囲にわたる農業被害と深刻な飢饉が発生する

また19世紀末の香港では竹の開花の後、
ネズミが増加したことで、ペスト流行したこともあったという。

さらに地下で複雑に絡み合う茎が一斉に枯れることによって、
竹が再生するまでの間は、土砂災害の危険性が高まってしまう。

そんなわけで、一生で一度出会うかどうかの神秘性もあいまって、
竹の開花が不気味な現象に思えてしまうようだ。

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