格差解消のための徳政令/岩波講座 日本経済の歴史

岩波書店から全6巻の「日本経済の歴史」の発行がはじまり、
今月発売の第1巻(11世紀から16世紀後半)を読み始めた。

借金帳消しの「徳政令」は格差解消のためだったという話から、
頭の中でいろいろつながったのでメモメモ。

日本が本格的に貨幣経済へ移行したとされる14世紀頃。
たとえばこの時代を生きた兼好法師が徒然草の中で、
貨幣を神のように崇めて蓄財に励む金持ちの姿を描いている。

この頃に金持ちになった富裕層は貸金業を営みはじめ、
貸付利率は一般的に月利5%と金利は高めではあったが、
農民でも借金が可能になり、農業等の生産性向上に一役買っていた。

農民が自由に高利資金を借り入れられる状況は、債務不履行に陥る農民と、資産を蓄積する有徳人とへの、資産所有の両極化を招いた。それが社会を維持する閾値を超えたと債務者が考えたとき、彼、彼女たちは徳政一揆を起こし、公的権力がその認識を共有すれば、徳政令が発令され、資産の再分配が行われた。徳政令は、中世の自由な農地市場、金融市場、人身売買市場が、社会の持続と両立するために必要な資産の再分配を劇的に実現する政策であった。」P48

まれに今の日本の借金がとても返済できる額ではないから、
徳政令みたいなのを出して、借金踏み倒すんじゃないか?
というような話を耳にするが、誤認識ということになる。

そういえば何で読んだのかは忘れたが、
江戸時代に生活の貧しかった武士が反乱を起こさなかった要因は、
享保・寛政・天保の改革で3度、武士の借金を帳消しにしたからだとか。
貸金業者には幕府から手当がされ、金融不安が起こることもなかった。

以上のように借金帳消しは政府の踏み倒しではなく、
格差解消のための経済政策だった
というのが正しい認識だね。

現代で似ている事例は消費者金融への過払い金返還請求かな。
ハイエナ弁護士が群がって、救われるべき人が利用されてしまったが…。