きまぐれにトマ・ピケティの「21世紀の資本」をざっと再読した。
分厚さゆえに数多くの読者が挫折したことが想像できるが、
ベストセラーとなったおかげで、その主張は誰もが知っている。
資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出す
ノーベル賞を受賞したサイモン・クズネッツ(1901~85)が、
資本主義の初期段階では所得格差が広がるが経済発展に伴い縮小する、
と唱えた理論を反証するためには、これくらいの分量が必要なのだろう。
私も最後の方は力尽きて、結局ピケティはどんな解決策を示したんだっけ?
と訳が分からなくなって、今回ふたたび手に取ってみたのだ。
そうかタックス・ヘイヴンの規制を含む国際金融の透明性を確保し、
世界的な累進資本税を導入せよ、というのが提言だったのか。
ただピケティ自身も空想的な発想と記しており、
となるとP371に示された将来推計をたどると考えてよいのだろう。
もしも世界的な資本税が実現したとしたら、
資本税率を上回る投資リターンを得ようとする人々によって、
バブルの形成と崩壊が頻発する不安定な世の中になりそうな気がする。
個々人が「r>g」による格差拡大に抗うには、
「たとえ少額でも株式投資を通じて資本収益を得る!」
という策しか思い当たらない。
そして投資先を選定する際は、
- 法人税の納税額が利益と比べて著しく低い会社
- 役員報酬が従業員給与と比べてあまりに高い会社
は除外するように気をつけることで、
格差拡大を支援するような投資をしないこと。
でも私自身の生き方を肯定したくて、こうした考え方に縛られるのかも。
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