「読むべき日本の名作は?」という質問には引き続き、
1900年前後の葛藤の中で、英語で本当の日本を伝えようとした、
- 内村鑑三「代表的日本人」(1894年)
- 新渡戸稲造「武士道」(1900年)
- 岡倉天心「茶の本」(1906年)
をオススメしている。
「逝きし世の面影」にも描かれた江戸以前の日本の美徳が消えていく…。
その焦燥感・切迫感から、この時期に固まって名作が生まれたのだろう。
最近、桜について調べているから、「武士道」「茶の本」の桜をピックアップ。
“Chivalry is a flower no less indigenous to the soil of Japan than its emblem, the cherry blossom.”
(武士道は、日本の象徴である桜に並ぶ、日本の土地に固有の花である。)
“Some flowers glory in death - certainly the Japanese cherry bloossoms do, as they freely surrender themselves to the winds.”
(花によっては死を誇りとする花もある。日本の桜はいさぎよく風に身をまかせて散っていくのだ。)
新渡戸も天心も、日本が軍国主義に傾く憂いを訴えたはずなのに、
彼らの描いた桜観は「お国のために散る」へつながってしまうような。
なんとも皮肉な話。たぶん桜に死を見る、というのは違うんじゃないかな。
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