時間は因果の外側に/池田清彦「生物にとって時間とは何か」

現代科学は不変の「物質」と「法則」を探究する学問。
つまり我々の存在とは独立の不変性を追求するものといえる。
だから生命現象を科学で読み解こうとすると何かが合わない。
それは「時間」の捉え方の問題ではないか?とはじまる。

科学の方法は「再現可能性」を確かめることにある。
自然界には法則があり、同じことを繰り返せば同じことが起きる。
でも、このような因果性を認めると、時間の流れの説明がつかない。

現在において、未来のできごとも過去のできごとも共に一意に決定されているとなると、未来と過去は対称であって、非対称な時間が生じる余地はないと思われるからだ。逆に言えば、非対称な時間が存在するということは、世界は因果律に従って動いているわけではないということでもある。」(P187)

つまり、やってみなけりゃ分からないから(=因果律がない)、
そこに時間の流れ(=時間の非対称性)が存在する
と言える。

生物の進化に置き換えれば、時間の流れが「創発」を生む。
たとえばDNAに突然変異が起きて形質が変わるときだ。
でもそれは同時に進化の「法則」は記述不可能ということに…
最後はこうまとめられている。

科学とは時間を強制的に止める思考実験によって、逆にどんな時間が流れているかを理解しようとする営為なのだと思う。」(P218)

なるほど投資を科学するのが難しいのは、このせいか。
きっと投資は物理学や数学よりも生物学に近いんだな。。。

生物にとって時間とは何か (角川ソフィア文庫) 生物にとって時間とは何か (角川ソフィア文庫)
(2013/05/25)
池田 清彦
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