世を捨てても世に捨てられずに生きる

ちょうど5年前。
運転免許の更新で10年前と写真を比べて衝撃を受け、
35歳での隠居を宣言した。→その時の記事
今日から1年以内に何らかの決断を!ってことになるけど…

この5年間、いろいろ試しながら、真剣に考えてきたけど、
すべてを投げ打ってでも追求したいことが見つからなかった。
だから隠居しない場合の今後の方針として、
「世を捨てても世に捨てられない」生き方を目指そうかと。

量が過多でないかぎり、どんなに退屈な仕事さえ、たいていの人びとにとっては無為ほどに苦痛ではない。・・・仕事は、何をすべきかを決定する必要なしに一日のかなり多くの時間を満たしてくれる。」(ラッセル「幸福論」

仕事の圧迫は心にとってきわめてありがたいものだ。その重荷から解放されると、心は一段と自由に遊び、生活を楽しむ。仕事をせずにのんびりしている人間ほどみじめなものはない。」(ゲーテ「格言集」

「暇」や「退屈」は悪夢だから、ある程度の仕事は続けるべき。
でも美意識に反することをしてまで、お金を稼ぐのは人生のムダ。
万人にいい顔はせず、頼ってくれる人だけに誠意を尽くせばいい。

あらゆる世間的な営みから遠く離れて生きる人の生が豊満でないなどということがありえようか。その生は一片たりとも他人に譲渡されることはなく、・・・一片たりとも運命にゆだねられることもなく、・・・一片たりとも余分なものもないのである。その生の全体が、いわば見返りを生む。」(セネカ「生の短さについて」

まぎるる方なく、ただひとりあるのみこそよけれ。世に従へば、心、外の塵に奪はれて惑ひやすく、人に交われば、言葉、よその聞きにしたがひて、さながら、心にあらず。・・・縁を離れて身を閑かにし、事にあづからずして心を安くせんこそ、しばらく楽しぶとも言ひつべけれ。」(徒然草75段)

隠居うんぬんではなく、群れたり、媚びたりせずに生きていく
っていうのが大切なことだと今は考えている。

コメント

  1. 現代の生活は、多くの刺激・情報があふれています。
    そして、刺激というものに感じる快感は、次々と強くなっていく傾向があります。
    これは、麻薬、酒などと同じ傾向であると思います。
    一旦このような刺激になれると、静けさの中の喜び(わび・さび)が見えなくなってしまう。
    貴ブログでは、多くの文献・資料を読破され、そこから導かれる叡智を記事として提供されておあられます。
    この叡智も静けさの中からのみ現れてくるものであると思います。
    >この5年間、いろいろ試しながら、真剣に考えてきたけど、
    すべてを投げ打ってでも追求したいことが見つからなかった。
    実はこのプロセスこそが、貴重な時間ではないかと思うのです。
    「自分を問う」プロセス。
    情熱を持って物事をすることは確かに素敵なことかもしれません。
    しかし、目をくらまされ、情熱的であることは、小さな貴重なものを見落としてしまうことにもつながる可能性もあります。
    貴ブログの1ファンとして、今後も静かに世を問う賢者であることに期待しておりますし、その道のりがこれまでの5年間であったと思うのです。
    見つけようとすれば見つけられないが、実は、その目指すところのただ中におられたのではないかと。

  2. まろ@管理人 より:

    ありがとうございます。
    なんだかすっごい誉められ方でテレちゃいます。。。
    何か目的がありそこへ向かって突き進むものが人生ではなく、流れゆく過程の中にこそ人生がある、というような感じでしょうか。

  3. いつもの通りすがり より:

    >世を捨てても世に捨てられずに生きる
    まろさんがたびたび西行についての記事を書いていることもあってか、このフレーズからは西行ばかり浮かんできてしまいます。
    私は以前、まろさんが紹介していた釈迦の言葉が好きです。
    「多くを説くからといって、彼が賢者ではない。心おだやかで、うらむ心なく、恐怖のない人こそが賢者と呼ばれる。」
    この言葉を聞いて、思い出すのは李白の「山中問答」。
    余に問ふ 何の意ありてか碧山に棲むと
    笑って答へず心自から閑なり
    桃花流水杳然として去る
    別に天地の人間に非ざる有り
    この時の李白は漱石のいう「浮華を去って摯実につく」という状態なのかもしれません。何者にも惑わされず、かといって他人を拒絶したり、他人の考えを否定するわけでもない。(山中に居を構えるというのは他者の拒絶なのかもしれませんが。)ただ穏やかさに満たされている。田舎暮らしはしたくありませんが、こんな穏やかさが私の理想の一つです。
    もしも私が貞信公のような人間であったなら、いつまでも陛下に間近くお仕えして、国の繁栄を願いながら日々を過ごしたいな・・・。

  4. まろ@管理人 より:

    たしかに私「西行」してますね。ご指摘いただいて初めて気が付きました。私もちょっとずつ漢詩の本を読んでますが、以前ブログでも紹介した白楽天「中隠」が今のお気に入りです。
    http://www.pixy10.org/archives/6445506.html

  5. 赤大将 より:

    仕事を続けなくても、生活の糧を確保する方法を持ち、
    暇・退屈に悩む事なく生きていけるなら最高ですが…
    まぁ凡人にはそこまでの度量も技量もないわけで、
    仰るような生き方ができればまさに
    「我が人生は我そのものなり」と言えるんでしょうね。
    誰かに指図されたわけでも、誰かに媚びたわけでもなく、
    自分で選んだことを積み重ねて自分の人生を生きる。
    その生き方、覚えておきたいと思います。

  6. まろ@管理人 より:

    人の寿命はたしかに伸びました。でもそれは若く元気な時期が伸びたわけじゃないと思います。今も昔も変わらず人生50年。その後のオマケが増えただけ。
    そう考えると何かを決めてやり切るには…、私に残された時間は本当に少ないです。赤大将さんの胸に「これ!」というものがあれば、後先考えずに突進してください。好きなことをやらずに終わってしまう人生よりも、好きなことをやって敗れた人生の方が味わい深いものだと思います。