日本の昔話は描かれた女性像に特徴あり。

河合隼雄が注目した「炭焼長者」の女性像

先月のNHK「100分de名著」で河合隼雄が取り上げられていたので、
この機会に手元にある著作を読み返している。

番組でも取り上げられていた、 河合隼雄「昔話と日本人の心」

著者は女性が自らの意思で離婚し、貧しい男へ求婚、やがて長者となる
炭焼長者」に描かれる女性像に感銘を受け、次のようにまとめる。

「怪物を退治して女性を獲得する男性の英雄ではなく、耐える生き方を経験した後に、反転して極めて積極的となり、潜在する宝の存在を意識していない男性に、意識の灯をともす役割をもつ女性は、日本人の自我を表すものとして最もふさわしいものではないかと思われる。もっとも、このような姿は、後にも述べるように、日本人の現在の姿よりも未来を先取りしているものと解釈するのが妥当であると考えられるが。」

以前読んだ時もそうだったのだが、
「後にも述べるように…」の「後」の部分が判別できず、
なぜ「未来を先取り」した女性像なのかがよく分からなかった。

さらに疑問に感じたのは「炭焼長者」の昔話について調べてみると、
どうもこの物語は離婚・再婚の部分が描かれない話が主流のようで、
大分県の臼杵石仏につながる「真名野長者伝説」が最も有名なのでは?

ただし女性の知恵によって男性が長者になる物語の展開は同一
最近、世間を賑わす「女性活躍推進」はある種の先祖返りとも言え、
その意味で「日本人の現在の姿よりも未来を先取り」と言えるだろうか。

なおこの本は1982年出版で、男女雇用機会均等法も施行(1985年)より以前。
歴史から未来を読み解くことに成功した稀有な一冊と言えるかもしれない。

もともとは女性が主人公だった「浦島太郎」

私も以前、昔話を調べていて「浦島太郎」の原型に興味を持ったことがある。
丹後国風土記」に記された最も古い型では、神の娘の恋を描いた物語。

海で釣りをしていた「水江浦島子」に神の娘が一目惚れ。

「賎妾が意は、天地と畢へ、日月と極まらむとおもふ。但、君は奈何にか、早けく許不の意を先らむ。」

この世に天地がある限り、太陽と月が輝いている限り、
私はあなたを愛し続けます。あなたの返事を聞かせて。

と愛の告白をして、浦島を常世(あの世)の国へ連れて行く。

やがて故郷に帰りたいという浦島に渡された玉手箱。
その中に入っているのは、なんと娘自身。

浦島が約束をやぶって玉手箱を開けてしまうと、
娘は湧き出る雲とともに常世の国へ飛び去っていく。
私のことを忘れないで、という和歌を残して。

大和へに 風吹き上げて 雲離れ 退き居りとも 我を忘らすな

アマテラスが女性神であったり、邪馬台国の卑弥呼に代表されるように、
おそらく日本はもともと女性中心の社会だったのだろう。

それが中国王朝に国として認められるためだったり、
内乱により腕っぷしが重要視されることで、男性社会に移行していった。

時代に合わせて浦島太郎の物語が書き換えられていったということか。
ちなみに現在の形になるのは、室町時代の「御伽草子」が起源。

今後も社会の変化に合わせて、元の形に戻っていくのだろうか?
昔話というより、新作アニメや漫画の中にその変化は見出されるのだろうか?

コメント

  1. deefe より:

    日本人女性は昔はどう考えても強かったと思われる。
    神功皇后、持統天皇、アメノウズメ、コノハナサクヤヒメ、かぐや姫
    みな天皇よりも強い。