サッカー好きにとっては、熊野といえば八咫烏。
日本サッカー協会のシンボルマークである。
現地に赴いたのを機に、なぜ八咫烏が勝利祈願とつながるのか、
古代神話におけるカラスの立ち位置などを整理してみた。
熊野三山の八咫烏
熊野本宮大社の説明板によると、
熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社と、
三社それぞれ八咫烏のロゴが異なるようだ。
速玉大社の八咫烏は境内の御神木の葉っぱをくわえている。
また那智大社にのみ、八咫烏を祀る社殿(御縣彦社)があった。
勝利へ導く八咫烏(古事記)
八咫烏に勝利のイメージが付されたのは古事記に由来する。
日向の国(現在の宮崎県)に住んでいた二人の兄弟、
- 五瀬命(兄)
- 神倭伊波礼琵古命(弟、後の神武天皇)
が天下太平を胸に東国を目指して遠征開始。
しかし大阪湾のあたりで敵の返り討ちにあってしまう。
兄は戦いの傷がもとで死亡、弟は南に逃れていく。
海路で熊野へたどり着いた弟のもとに、
八咫烏が高天原からの使いとしてやってくる。
八咫烏の先導後は連戦連勝(というか戦う前に相手が降伏)。
無事大和を平定し、初代天皇、神武天皇として即位した。
古代神話とカラス
八咫烏の足が三本なのは、古代中国の神話に由来する。
中国では太陽の中に三本足のカラスが住むと考えられていた。
ちなみにギリシア神話でも、太陽とカラスにまつわる話がある。
太陽神アポロの情報伝達係だったカラスはもともとは白かったが、
アポロの怒りに触れて黒く変えられ、それがカラスが黒くなった由来。
そして北欧神話の主神オーディーンの両肩にはカラスが一羽ずつ。
それぞれフギン(思考)、ムニン(記憶)と名付けられ、
オーディーンに世界の情報を伝えるために飛び回っている。
日本の八咫烏は、太陽神である天照大神の子孫の案内役。
世界的に太陽や案内役というキーワードが登場している不思議。
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