まず遺伝子の話は用語がいつも分からなくなるのでメモしておくと、
生物に書かれている情報を一冊の本に例えると、「DNA」はインク、「染色体」は本、「遺伝子」は書かれている内容の中でタンパク質に触れている部分で、「ゲノム」が書かれている内容全部、となります。(遺伝医療時代)
かつて人間の「ゲノムの解読は完了した」と発表があった。
しかしこれは遺伝子情報を持つゲノムの2%の部分を解読しただけで、
残り98%の遺伝子情報を持たない「非コードDNA領域」には、
大した機能がないだろうと見込んでの発表だったという。
研究が進むにつれ、非コードDNA領域こそが生命を誕生させ、
進化の原動力として働いた重要な装置ということが分かった!
という話をまとめた一冊が、
とくに興味深かったのが、非コードDNA領域の「イントロン」。
「バクテリアや酵母菌などの単純な生物からの進化の過程で、ゲノムで起きた最も顕著な変化はイントロンの登場と拡大です。イントロンは遺伝子の内部にありますが、タンパク質をコードしていないので、立派な非コードDNA領域です。ヒトのゲノムの30%近くがイントロンで占められています」
「ヒトの遺伝子を大きい順に並べていくと、面白いことに上位には脳・神経系の遺伝子が多く並びます。これらの遺伝子が大きいのは、コードしているタンパク質が大きいからではなく、イントロンが巨大なためです。」
「脳・神経系の遺伝子は、長いイントロンのおかげで、変化(進化)しやすい性質を持っているということになります。そのため、脳の急速な進化が可能になったのかもしれません。イントロンは無駄に長いわけではなかったということです。」
つまりヒトの脳の進化・発達はイントロンのおかげということ。
そういえば私が料理をはじめるきっかけのひとつとなった、
という研究結果があったが、
その背景にはイントロンの働きがあったということか。
「ヒトのゲノムの98%は非コードDNA領域に占められています。この98%が非コードDNA領域というのは、進化の過程で少しずつ増えてきた結果であり、今後も増え続けていくと予想されます。」
そんなに重要だったものが当初は放っておかれたなんて・・・。
と驚くとともに、当たり前すぎて見過ごしていることに、
物事の真理が潜んでいるのと同じなのかな、とも感じるのだった。
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