古典に興味を持つ前から藤原定家の日記「明月記」を知っていた。
地球では数百年近く観測されていない超新星爆発についての記述があり、
星空観測の記録として天文学の分野で世界的に貴重な資料なのだ。
そんな私の認識や「明月記」というタイトルのイメージから、
毎晩星空を眺めながら、歌人ゆえの風流な日記なのかなと想像していたが…
初めて抄訳コラム本を手にとってみたら、ごく普通の日記だった。
ただ年月日がきちんと付されているから、史料として重要なのだろう。
ちなみにタイトルの「明月記」は定家自身が名付けたものではなく、
19歳から74歳まで書き続けた日記の19~20歳の記述に、
「明月片雲無し。庭梅盛んに開く。」
「夜に入り、明月蒼然。」
「暑気により格子を上げ、ただ明月を望む。」
というように「明月」という言葉がたびたび登場することから、
後世の人が「明月記」と名付けたことに由来するようだ。
しかし「明月蒼然」という表現は美しい。
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