昔は「ハバネロ」が世界一辛い唐辛子と聞いたような気がする。
今はその数倍の辛い「キャロライナ・リーパー」という品種が世界一だとか。
辛さを追い求める人間によって世界中で生産されるようになった唐辛子。
でも唐辛子の辛さは「鳥」に食べて欲しいがためのものだったという話。
ずいぶん昔から鳥が唐辛子を好んで食べることは知られており、
「蕃椒(=唐辛子)を諸鳥好んで食べ、鶏などは甚だ好む、諸鳥の薬なりという。」(貝原益軒「大和本草 附録1巻」/1709年刊行)
近年の実験では人間には致死量のカプサイシン溶液でも鳥は飲めるのだとか。
また鳥に食べられた唐辛子のタネは発芽率が高まるという実験結果もある。
鳥以外の動物に食べられるとタネも消化されてしまい子孫を遺せないのだ。
つまりその辛さは鳥以外の動物を遠ざけるためのものなのだ。
しかし唐辛子を料理のスパイスとして見出した人間により、
鳥を媒介とせずとも、世界中で生産されるようになった。
唐辛子にとってはまったく思いもよらない展開と言えるだろう。
※参考図書…山本紀夫「トウガラシの世界史」
※オマケ(国立国会図書館のデジタルコレクションより)
ついでに附録ではなく本文中での「蕃椒」を探したところ、
巻5に唐辛子の日本伝来にまつわる記述を見つけた。
「昔は日本に無く、秀吉公の朝鮮伐の時、彼の国より種子を取り来る故に俗に高麗胡椒と云う。」
現在ではポルトガル人宣教師が大友宗麟に献上したのが伝来経路とされる。
おそらく西日本を中心に唐辛子の栽培が広まっていく中で、
多くの東日本の人々が初めて目にしたのが朝鮮出兵の時だったのでは?
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